研究課題/領域番号 |
24653225
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
荒井 英治郎 信州大学, 全学教育機構, 准教授 (60548006)
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キーワード | アーカイブ / 文書記録 / 口述記録 / オーラル・ヒストリー / 教育政策研究 / 戦後教育史資料 / 通知 |
研究概要 |
本研究の目的は、2タイプの教育政策情報(「文書記録」+「口述記録」)の体系的整理とアーカイブ化を通じて、教育政策過程のダイナミズムを解明する実証的な教育政策研究の再構築を行うものである。第1に、「文書記録」のアーカイブ化として、新たに発掘・発見されながらも未公開・未整理である教育政策関連の一次史資料群の体系的整理を行う。第2に、「口述記録」のアーカイブ化として、戦後教育政策の政策過程に関与したアクターに対するヒアリング調査を実施し、オーラル・ヒストリーとして再構成する。本研究の達成目標は、教育政策情報の一般公表・利用の実施と、実証的な教育政策研究の基盤整備を行うことにある。 平成25年度においては、「文書記録」の整理・目録化・データ化を通じたアーカイブ化と、戦後教育政策の立案に関与した元文部省関係者に対するオーラル・ヒストリーに着手した。 第1に、昨年度実施した国立教育政策研究所教育図書館所蔵の戦後教育政策に関する史資料の所蔵状況の確認作業を土台としながら、引き続いてアーカイブ化の必要な文書記録の選定作業を行い、史資料の把握及びリスト化を継続して行った。総数2000点以上にわたる史資料としては、教員養成、閣議関連資料、次官会議資料、学校図書館関係、大学設置審議会などを対象としており、封筒詰め作業とともにデータ入力の作業を行った。また、戦後改革以降において文部省が発出した「通知」文書に着目し、それら通知の発出日と項目等をリスト化する作業に着手し、基礎データの入力を完了させた。 第2に、戦後教育政策の立案に関与した元文部省関係者に対するオーラル・ヒストリーを実施することが可能となり、基礎データ(略歴、論文等目録など)の整理と質問項目の作成に着手、ヒアリングの打ち合わせ、今後の調査計画の確認などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現存する教育政策関連の史資料の全体像の確認をすることができたとともに、研究計画の着実な遂行のための段取りを研究者及び資料所蔵者と共有し、具体的な作業に落とし込むことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度になるため、調査報告書の作成に早期に着手するものとする。現段階では、夏までに基礎的作業(データ整理等)を完了させ、秋以降データと現物との照らし合わせの作業を重点的に行うことを予定している。 具体的には、次の2つの作業を予定している。 第1は、「文書記録」のアーカイブ化である。これについては、新たに発掘・発見されながらも未公開・未整理である教育政策関連の一次史資料群(国立教育政策研究所教育図書館所蔵の戦後教育政策に関する史資料、戦後文部省から発出された「通知」文書一覧)の体系的整理として、報告書を作成し、一般公開を行う基盤的整備を行う。 第2は、「口述記録」のアーカイブ化である。現在実施中である複数の元文部省関係者に対するオーラル・ヒストリーの成果を報告書としてまとめあげ、一般公開を行う基盤的整備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初見込みと比して、調査報告書の作成数が倍増することとなっただけでなく、ヒアリングの実施が調査対象者の都合により年度途中からの開始となったため、次年度使用額が生じた。 現時点では、研究成果として4つの報告書を別々に刊行する予定である。第1は、戦後教育史資料に関する調査研究報告書である。これについては、現在データクリーニング中であるため、内容を精査した上で、10月刊行を予定している。第2は、戦後の通知文書に関する調査研究報告書である。これについては、すでに入力済みであるため、校正等を含め、12月中の刊行を予定している。第3は、元文部省関係者Aのオーラル・ヒストリーの成果報告書、元文部省関係者Bのオーラル・ヒストリーの成果報告書である。これについては、現在鋭意ヒアリングを実施中であることから報告書刊行は年度末の3月となる予定である。 いずれにしても報告書全体の体裁等は既に確定しているため、早急に着手し円滑な研究費執行に努める。
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