研究課題/領域番号 |
24653231
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
七木田 敦 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60252821)
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研究分担者 |
岡花 祈一郎 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (50512555)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学校ごっこ / 保幼小連携 / 学びの基礎 / 幼稚園 / 保育所 |
研究概要 |
本研究は、保育所・幼稚園から小学校への「段差」を教育への準備性の問題ととらえ、小学校就学を滑らかにするための「ソフトランディング」の手法として「学校ごっこ」を実施し、その効果の検証をおこなうことを目的している。平成24年度は主として先進園の視察および理論的整理を中心に研究を進めた。保育所・幼稚園から小学校への就学は、就学前の保育文化から学校文化への移行としてとらえることができる。本研究では文化間移行を「越境(boundary crossing)」としてとらえるヴィゴツキー学派の知見を手がかりに、文化間を越境することが学習機会となる可能性を検討した。また、国際的には小学校への接続(transition)に関して3Rsを中心とした早期準備教育型が多いなか、本研究では、就学前の保育文化の一つである遊びに着目している。そのなかで「学校リテラシー」の指導を連携の課題として実践している保育所幼稚園の実態調査(七木田・岡花担当)のための調査項目を作成した。またおもに学校リテラシーを習得することを目的に「学校ごつこ」を取り入れている幼稚園・保育所(広島市5園、東広島市2園)にて訪問調査を実施した。幼稚園保育所で取り入れられている「学校ごっこ」は小学校の先取り学習ではない。あくまで遊びを通した間接的な学校体験である。今年度の理論的な検討を通して、遊びによる就学準備の可能性が導きだせると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の主たる目的は、各地の保幼小連携の実態調査と「学校ごっこ」の理論的な整理であった。第一の保幼小連携の実態調査については、広島県、福岡県などの地域の取組みを研究代表者、研究分担者それぞれ視察するなど調査を行った。実態としては地域性や各学校区に応じた様々な工夫をこらした取組みがなされていた。交流会などを通した連携を模索していたが、「学校ごっこ」に関連するような先進的な取組みという点では十分な調査は行えていない。また、組織的な視察及びインタビュー調査なども十分に実施できていない。これら各地(広島、福岡以外)の先進的な取組みへの調査は平成25年度への課題として残されている。第二の「学校ごっこ」の理論的な整理については、ヴィゴツキーの発達や遊びに関する諸研究が手がかりとして検討を進めた。理由として、ヴィゴツキーは発達の転換期として「7歳の危機」を挙げており、移行期の子どもの発達を検討するうえで手がかりとなると考えたからである。また、幼児期の発達をうながす主導的な活動として遊びに着目しており、「学校ごっこ」という遊びを通した就学準備のあり方に示唆があると考えられる。特に平成24年度は、文化間移行を「越境(boundary crossing)」としてとらえるヴィゴツキー学派の知見を手がかりに、保育所・幼稚園から小学校の文化を越境することが学習機会となる可能性を検討した。これら理論的な検討を通して、「学校ごっこ」プログラム立案(平成25年度の目的)の方向性やコンセプトなどを固めることができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に計画していた海外調査ができなかったので、本年度は、カナダ・バンクーバー小学校ジュニアクラスにおける「学校リテラシー」習得のためのカリキュラムの調査(七木田が担当する)を進める。カナダでは、幼児が5歳になり幼稚園、デイケアセンターを終了した後、本来の小学校での教科学習に慣れさせるための、連携のための予備クラスがさ れている。「読み」「書き」などの学習リテラシーはもちろんのこと、遊びを通じた学校リテラシーの習得にも重点をおいて指導が成されている。カナダ・バンクーバーのデイケアセンター、小学校を訪問し、上記の観点から調査を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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