本研究は、現代における子どもの成長の危機という課題に対応するために、医学と教育における発達観の比較社会史研究を行った。その結果、目的と計画によって特徴付けられる教育的発達に対して、不確かさと向き合い危機を乗り越える治療的アプローチの有効性を明らかにした。 第1に、医学者富士川游が参加した児童研究を取り上げ、近代学校の発達観を対象化する治療的発達の思想があったことを明らかにした。第2に、江戸期の小児科学の全体像を明らかにするために、中国及び台湾において史料調査を行い、漢医学小児科の日本への受容の具体を分析した。第3に、フランスとドイツの医学的発達教育研究の日本への導入について検討した。
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