研究課題/領域番号 |
24653233
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研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
荒木 陽子 北海道情報大学, 医療情報学部, 講師 (90511543)
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キーワード | クロスオーヴァー文学 / ヤングアダルト文学 / カナダ文学 / 多読学習 / 生涯教育 |
研究概要 |
1.YAおよびクロスオーヴァー文学に関する文献研究:平成24年度の研究の成果として、YA文学として取り扱われる作品のなかでも、大人にも子供にもアピールする、クロスオーヴァー文学とされる文学のもつ可能性に着目するに至った。この研究の延長として、以下二つの研究を行った。(1) 19世紀末の作家で大人をオーディエンスとする作家としてスタートし、晩年に児童向けの作品も出版するに至ったカナダの作家、パフォーマー、ポーリーン・ジョンソンに関して研究を行い、彼女が少年向け雑誌に出版した『シャッガナッピ』(1913)の研究を行い、その結果を平成26年度5月に出版予定の「ハイブリッド作家の児童文学における挑戦――E. ポーリーン・ジョンソンの『シャッガナッピ』を中心に――」『敬和学園大学人文社会科学研究所年報』no.12の一部としてまとめた。(2) 近年では大人向けの作家として認識されるようになったが、以前はYA作家としても取り扱われた現代カナダの作家リン・コーディの教員と児童・生徒の関係をめぐる短編小説「ホープ先生」を研究し、その成果を日本アメリカ文学会東北支部3月例会(平成26年3月15日、於・東北大学)において「リン・コーディの短編小説に関する一考察」の一部として研究発表した。 2.「多読to読書」実証研究 :(1)休業中であったため、実証研究は全くできなかったが、平成26年度以降の研究継続の準備として文献研究により、クロスオーヴァー性に着目し大人向けの作家が書いたYA文学の発掘と購入に勤め、図書館に配置した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度は平成25年4月1日より平成26年1月末まで育児休業を取得したため、平成26年2月の職場復帰まで、目立った研究活動を行うことがほとんどできなかった。また娘の保育所入所まで、ほとんど研究が行える状態ではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
妊娠・出産に伴い、平成24年度および25年度に実施を予定していながら、実行できなかった事項(学生用ツールとしてリストアップ作品のオンライン化、北米学校教育におけるYA文学使用の状況の研究など)があるため、原則的にはこれら事項を継続研究する予定である。特に、実証研究の部分に関しては、当初研究対象としていた平成24年度入学生がすでに3年生となってしまった上に、25年度に継続指導および調査ができなかった。そのため、再度研究対象グループを平成26年度入学生に再設定し、研究を次年度に延長して進める必要がある。しかし、こうした策をとっても、当初3年を予定していた実験期間を大幅に短縮する必要があり、予想された結果を得ることは困難と考えられる。本年度の研究進行の如何では、延長年度における研究方針の変更(理論中心の研究への転換)に関しても考えなければならない。また、学生ツールとしてのオンライン作品リストの作成については、本年度後半以降に、作業アシスタントを使いながら行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
産前産後の休業(平成24年10月~平成25年2月)、育児休業(平成25年4月~平成26年1月)を取得したため、研究が大幅に遅延しており、本来遂行されるべき研究が年度中に遂行されなかったため。 平成26年度は平成24、25年度実行できなかった研究事項を継続研究する予定である。繰越予算は過年度に購入予定の追加分の多読用図書、YA文学の購入、およびそれらを利用した実践的研究に伴う多読ポートフォリオの導入、北米学校教育におけるYA文学使用の状況の研究に必要となる書籍の購入・他図書館からの文献貸借、学生向けオンライン・ツールの作成、さらには研究成果の発表の旅費などに使用する予定である。
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