研究課題/領域番号 |
24653237
|
研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
志村 廣明 中部大学, 全学共通教育部, 教授 (60141446)
|
キーワード | 子ども・教師の参画 / 大正自由教育 / 学校の教育空間 |
研究概要 |
本研究の目的は、日本の近代学校の歴史、とりわけ大正自由教育の歴史の中で見落とされてきた子ども・教師の参画による学校空間の歴史に光を当てることにある、この研究目的を達成するために、平成24年度から資料収集活動と研究報告書の作成に力を尽くしてきている。平成25年度の研究実績の概要は、次のとおりである。 1、(学校所蔵資料の収集) 本研究の目的を達成するために、本年度は、自由学園と文化学院を訪問して、子ども・教師の参画という視点から資料の収集に力を入れた。とくに、自由学園の『学園新聞』等の資料を探索しできたのは有益であった。また、文化学院においても、学園関係の資料を閲覧し、子ども・教師の参画にかかわる資料を収集した。 2、(東京都公文書館の資料の探索) 1920年代以降東京市で設立された私立学校のうち、大正自由教育の一翼を担った学校の設立認可申請書等を探索した。自由学園をはじめとする諸学校の資料を収集することができた。3、(国立国会図書館の資料の探索) 本研究の対象として重要な文化学院の創設者西村伊作並びに自由学園の建築を行った遠藤新の著書等を探索した。4、、学校建築・施設関係図書、大正自由教育関係図書並びに欧米教育視察関係図書等の収集を行った。 以上1から4の資料を収集すると同時に、以下の分析視角を念頭において平成26年度に作成する予定の研究報告書の構成を考えた。分析視角(1)、子ども・教師の参画による教育空間の創造を可能にした条件は何であったのか。分析視角(2)、それは、欧米の学校建築を視野に入れたものであったのか。分析視角(3)、今日の日本における学校の教育環境を改善することにつながる理論・実践はあったのか。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、本研究の目的を達成するために必要な資料収集が、おおむね達成できている。収集する資料の性格から、なかなか得にくい資料ではあるが、自由学園の『学園新聞』をはじめ、本研究をまとめるうえで不可欠な資料を多く集めることができた。 2、研究報告書をまとめるための構想が、ほぼまとまってきた。子ども・教師の参画というキーワードを基に、明治末から大正昭和初期において大正自由教育を担った私立学校の教育実践とそれに対応した教育空間の創造をまとめることが第一に必要である。次いで、そうしたことを可能ならしめた要因の分析を行うことが不可欠である。ある私立学校の場合、学校の建築も含め、教師・父母・生徒が一体となて取り組む体制が確立されていた。こうした視点からの分析が必要になる。さらに、奈良女子高等師範学校附属小学校をはじめとする師範学校附属小学校並びに公立学校における教育空間の創造の試みにも光を当てたいと思う。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度(平成26年度)は、本研究の総まとめをする時期に当たる。平成24・25年度における資料収集活動と研究構想の立案を基盤として、平成26年度においては、研究報告書を作成する。報告書の主な内容は以下のとおりである。 はじめに 1、明治以降の学校建築に対する教師の疑問と意見 2、大正自由教育における教育空間の創造 3、子ども・教師の参画による教育空間の創造ーー日本の学校の事例ーー おわりに 先に述べたように、本研究はおおむね順調に進展しているので研究報告書の作成は、予定通り進めることができると考える。なお、平成26年度においても、補足的な資料収集活動を実施する。東京都公文書館における私立学校の設立申請書の調査、国立国会図書館等で学校の教育空間関連資料の収集を行いたい。それに加え、大正・昭和和初期にかけての日本の教育界の動向、とりわけ学校の教育空間の動向に関する資料の収集にも力を入れたいと思う。
|