平成27年3月31日、本研究の総まとめとして『大正自由教育における子ども・教師の参画による学校の教育空間の設計』という研究報告書(62ページ)を作成した。目次を示すと以下のとおりである。 はじめに Ⅰ、日本の学校建築・設備改善のための提言 一、子ども・教師の視点を重視した学校建築・設備改善論-棚橋源太郎『学校設備用品』(1915年)の分析を通して- 二、教師の参画による学校空間の創造を目指して-山松鶴吉の学校建築・設備改善論― Ⅱ、子ども・教師の参画による学校空間の創造 一、自由学園のばあい 二、文化学園のばあい 三、成城学園のばあい
「大正自由教育における子ども・教師の参画による学校の教育空間の設計」というテーマを設定して、大正自由教育をリードした日本の新学校において、学校の教育空間を創造するうえで子ども・教師がどのようにかかわったのか、子ども教師の参画による学校の教育空間の創造の事例があったかどうかを検証した。具体的に言うと、自由学園・文化学園・成城学園においては、子ども・教師の参画による学校空間創造の試みがあったことが確認できた。 本研究においては、先に述べた子ども・教師の参画の試みにつながる学校建築・設備改善論があったかどうかについても検討した。明治以降の近代学校において、このような学校建築・設備改善論を展開した二人の教師を取り上げた。 一人目は、棚橋源太郎である。棚橋は、欧米教育視察の経験を生かし、学校建築・設備改善論を展開した。そのポイントは、校舎を使用する子ども・教師の立場から、子どもと教師にとって快適な学校空間を創造することにあった。二人目は教師の参画による学校空間の創造を提案した山松鶴吉である。山松は、教師の参画を通して子ども・教師にとって快適な学校空間の創造の実現を願っていた人物である。
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