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2012 年度 実施状況報告書

多文化教育実践の新たな地域モデルの創出と発信

研究課題

研究課題/領域番号 24653242
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関宮城教育大学

研究代表者

市瀬 智紀  宮城教育大学, 附属国際理解教育研究センター, 教授 (30282148)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード多文化教育 / 国際理解教育 / 持続発展教育
研究概要

本研究は、東北地方発の多文化教育のモデルを提示するとともに、国際理解教育、多文化共生教育、ESD等それぞれが別個に考察されてきたテーマについて、一つの地域を取り上げて、それらの領域の相互の関連性を明らかにすること。さらに、震災後に受けた国際連携の与えた影響も調査に入れ、地域主体の多文化教育のフレームワークを構築することを意図している。
平成24年度に行った研究は以下の通りである。1.宮城県の多文化教育にかかわる経緯をまとめるため、文献的調査を行った。2.7th Biennial Meeting of the International Network of Teacher Education Institutions associated with the UNESCO Chair on Reorienting Teacher Education to Address Sustainabilityに参加し、ESDの理念と東北地方を中心に実践される多文化教育の成果について発表した。3.JICA東北と共同して、東北地方の小中高等学校、および中高一貫校等47校による質問紙調査と、生徒への聞き取り調査を行った。
平成24年度の新たな知見は、以下の通りである。1.学校で多文化教育の実践を行っている東北地方の教員は、約8割が実践を通して、教育的効果が得られていると考えている。その効果として、多文化教育の実践が地球的課題や世界への繋がりの認識を促進していると認識されている。2.生徒の中には、知識や技能の専門性と、国際社会への繋がりを関連付けており、「国際」という専門領域にとどまることなく、幅広い価値の浸透が見られる。また、生徒は、地域への回帰と国際社会への志向を矛盾なく捉える意識がみられる。次年度は、地域と世界を結びグローバルな価値の広範囲な浸透を目指す多文化教育のモデルを考察したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、3年間で地域の多文化教育に関する文献調査と量的調査、質的調査を行うことになっている。平成24年度はJICA東北の協力が得られたために、平成24年度中に、小中高等学校(教育委員会や短期大学を含む)47校を対象とした量的調査、質的調査が完了した。新たな知見は、以下の通りである。①学校で多文化教育の実践を行っている東北地方の教員は、約8割が実践を通して教育的効果が得られていると考えている。②生徒の中には、知識や技能の専門性と、国際社会への繋がりを関連付けており、「国際」という専門領域を指向するより、広く価値の浸透が見られる。また、生徒は、地域への回帰と国際社会への志向を矛盾なく捉えている。このように、量的調査、質的調査において、進展があったので、順調に進展していると評価できる。平成25年度は、引き続きこの量的調査、質的調査の分析を行うこと、また、平成24年度に完了しなかった部分である政策文書、学校文書、実践記録等の分析を継続して行う。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は、宮城県地域における「環境」「人」そして「持続発展性」を主体する多文化教育の経緯をまとめて、新たな実践に向けた理論的なモデルを構築して発信することである。その方法としては、①多文化教育の実践についての記録を記述する。②多文化教育の効果に関する検証について量的調査と質的調査、統計的手法によってまとめる。③学校と地域社会の相互作用とその効果について教育社会学的分析を行う、ことである。24年度は、②を中心に研究を行った。今後は、①②③の完了していない部分について、25年度、26年度に分けて実施する。成果は、国連持続可能な開発のための10年(DESD)の関連会議およびその他の国際会議で発表する。

次年度の研究費の使用計画

①設備備品費では、情報の収集と処理に必要な機器を必要最小限の範囲で確保する。②設備備品費で、先行文献や図書を購入する。③国内旅費は、国際理解教育学会や、異文化間教育学会、比較教育学会等への出席と情報収集、および宮城県内の遠隔地への旅費として使用する。④海外の多文化教育の情報収集のため外国旅費を申請する。The International Network (IN) of Teacher Education Institutions (TEIs)やThe Asia-Pacific Centre of Education for International Understanding (APCEIU)のネットワークへの参加経費に充てる。⑤謝金は、資料やアンケート調査の集計のために必要である。⑥消耗品として、記録媒体、トナー・インク、(アンケートや成果報告の)紙代が必要となる。
以上算出した金額は、最低限のものに限る。大学に配置されている資料や機材を積極活用し、さらに必要となった部分を、科学研究費によって補充する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] グローバル人材の育成を目指す学校教育2013

    • 著者名/発表者名
      市瀬智紀
    • 雑誌名

      文部科学省『中等教育資料』

      巻: 1月号 ページ: 16~21

  • [雑誌論文] グローバル化する学校現場における新たな実践の創造 宮城教育大学附属国際理解教育研究センターの経験から2012

    • 著者名/発表者名
      市瀬智紀
    • 雑誌名

      『日本教育』

      巻: 413 ページ: 18~21

  • [学会発表] Creating New Relationship between School and Local Community from the Lesson of East Japan Earthquake 3.112012

    • 著者名/発表者名
      Tomonori ICHINOSE
    • 学会等名
      16th UNESCO-APEID International Conference The Heart of Education: Learning to Live Together
    • 発表場所
      UNESCO Bangkok(Thailand)
    • 年月日
      20121128-20121130
  • [学会発表] 東日本大震災が地域の多文化化・国際化に与えた影響に関する一考察

    • 著者名/発表者名
      市瀬智紀
    • 学会等名
      東日本大震災 教育復興支援と地域の未来づくりフォーラム
    • 発表場所
      宮城教育大学(宮城県)
  • [学会発表] ユネスコスクールの国境を越えた学校間交流に関する一考察

    • 著者名/発表者名
      市瀬智紀
    • 学会等名
      日本国際理解教育学会
    • 発表場所
      埼玉大学(埼玉県)
  • [図書] 「国際理解教育と持続発展教育(ESD)」『ユネスコスクールによるESDの実践』2013

    • 著者名/発表者名
      市瀬智紀
    • 総ページ数
      24~39
    • 出版者
      アルテ

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公開日: 2014-07-24  

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