本研究の目的は、少年および高齢者を対象とした質問紙調査をもとに、万引き行為を規定する要因を明らかにするとともに、効果的な万引き防止策を提案することにある。 平成25年度は、すでに得られていた万引き被疑者のデータに、一般の少年および高齢者を対象に実施した質問紙調査から得られたデータを加え、少年と高齢者双方の万引きの規定要因に関する分析を行うことを目的としていた。 一般少年調査の対象は、愛媛県内の中学校(3校)および高等学校(3校)に在籍する生徒976名である。調査の実施時期は、中学校調査については2012年12月、高等学校調査については2013年11月~2014年1月である。一般高齢者調査の対象は、愛媛県内の高齢者(65歳以上)437名である。調査の実施時期は、2012年8月~2012年10月である。 分析を行った結果、被疑者少年は一般少年と比べ、①家族に対する愛着が乏しいこと、②進路について真剣に考えることや将来展望が乏しいこと、③学校の決まりを守るという自覚に乏しく、学校の決まりを守らない傾向にあること、などが明らかとなった。また、被疑者高齢者は一般高齢者と比べ、①独居者が多く、困った時の相談相手がいない、家族との心理的距離を感じているなど、社会的に孤立した状況に置かれていること、②職に就いておらず、世帯当たりの年収が低いなど、経済的に厳しい状況に置かれていること、③生きがいを感じることが少ないこと、などが明らかとなった。 なお、分析結果を踏まえた効果的な万引き防止策の提案と実施については、研究協力者である愛媛県警察と協議中であり、現段階では、高齢者の万引き防止策の提案と実施を検討しているところである。
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