研究課題
本研究では、教育人類学を専門とする申請者がこれまでエスノグラフィックなアプローチにて行ってきたインドネシア人留学生の文化習得に関する研究実績をベースに、大学における研究活動、所謂「研究室文化」について研究を行った。留学体験が帰国後の教育研究活動へ影響することが、申請者による日本留学経験を持つインドネシア人大学教員についての追跡研究から明らかになった。さらに日本留学経験者とドイツ留学経験者の教育研究活動の類似性を指摘するインドネシア人大学教員の存在が明らかとなった。この問題への関心から、本研究では高等教育機関特に大学院レベルの「研究室文化」について研究した。その際、日本の高等教育が歴史的に影響を受けたドイツの高等教育の歴史について調べた。更にかつてのインドネシアの宗主国オランダの大学も含めた、ヨーロッパにおける高等教育制度、また研究や科学の発展の歴史についても文献を中心として調査し、グローバル化の進む今日のインドネシアの大学制度への歴史的な影響を検討した。本研究を通して、留学と文化習得、より広くは「教育と文化」についての研究を発展させることができた。これまでの日本とインドネシアに加え、ドイツ、オランダを含めた欧米の高等教育の文化・制度・歴史について、教育人類学的なアプローチにより研究を行った。本研究はグローバル化が進む中で、今日の状況が中心となりがちである留学の問題について、文化習得と歴史と高等教育の観点を含むことで、これまで以上に包括的、多角的な研究となり、新たな教育人類学の研究の展開としても貢献することができた。
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e-Publication, INTCESS 15 2nd International Conference on Education and Social Sciences Abstracts & Proceedings
巻: n/a ページ: 1319-1325