最終年度の本研究の実施計画として前年度提示した内容は、1.学生対象の援助ニーズおよび被援助志向性に関する調査の実施およびデータの統計処理・分析、2.前年度に実施したコーディネーション体制の実態調査の結果公表、であった。 1.について、最終的に19高専の協力を得て学生対象の調査を実施し、約1万4千件の回答を回収し、有効回答と判断した約1万1千件の回答データについて統計処理・分析を行った。援助ニーズ4因子と被援助志向性2因子について、男女別、通学生・寮生別、学年別、専門分野別の分析を行った結果、それぞれ有意差がある傾向を持つ分析結果を得た。高専全体の約3分の1に当たる学生を対象とした本調査により、学生の援助ニーズおよび被援助志向性の傾向が明らかになった。 2.について、全高専の学生相談室長・看護師・カウンセラーの三者を対象としたコーディネーション体制の実態調査について、論文集「高専教育」および全国高専教育フォーラムにより、高専教職員に対して結果の公表・還元を行った。本調査により明らかになった三者間の現状認識の差異および改善が必要な分野に関する情報を共有する機会を提供することにより、高専学生支援コーディネーション体制構築の必要性の啓発に貢献した。 研究期間全体を通じて、1.支援を提供する側(教職員)に対するコーディネーション体制の実態調査の実施(全高専の約80%より回答)、2.支援を提供される側(学生)に対する援助ニーズおよび被援助志向性に関する調査の実施(全高専学生の約3分の1より回答)、3.両調査の結果分析およびその融合、を行った。その結果、より有益な学生支援体制構築のために、体制が弱い分野の補完を含む分野間を「つなぐ役割」、および、学生のニーズを的確に判断・処理して各分野に「つなぐ役割」、の2つの機能を有するコーディネーション役割を配置することの重要性を明らかにした。
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