研究課題/領域番号 |
24653269
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
中村 光一 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80225218)
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キーワード | 教育実習 / 授業文化 / 問題解決型の文化 |
研究概要 |
わが国の教育実習,教育実習の事前・事後指導において,(1)教育実習生の授業文化がどのように形成されるか,(2)教育実習生の問題解決型の文化がどのように形成されるのか,を質的データを用いて明らかにすることが本研究の目的である。この目的に対して,本年度は,教育実習生の実習中,事前・事後指導におけるデータの収集を行い分析を開始した。まず,以下に示すデータの収集を行った。 1)実習中のデータの収集 ビデオデータの収集は,①対象とした実習生による実習中における算数の授業(3時間),②算数の授業を参観したときの授業後の協議会,③算数の授業を対象とした実習生が実施するための準備における協議会,④対象とした実習生が授業を行った後に実施する協議会のときに,ビデオカメラ,音声レコーダーを用いて行った。また,文書データとして,⑤実習生が書いた指導案,書き直した指導案の複写(ただしそこには実習生の指導教員からのコメントが記されている),⑥教育実習生の実習生手帳の複写を収集した。 2)事前・事後指導でのデータの収集 実習生の算数教育に対して抱いている信念を調査するための調査紙による調査を実施した。 次に,教育実習中に収集したビデオデータの文書化の作業をするとともに,その分析を開始した。また,事前・事後指導でのデータの分析を進めている。分析の途中経過として明らかになったこととして,教育実習前の事前指導を通して,教育実習生の算数教育に対する信念がすでに変容することがみられている。この変容がいかなるものか,教育実習中での変容はどのようにかかわるのかを明確にすることが教育実習中のデータの分析の一つの方向付けとしてなされた。これらの成果をもとに,他の教育実習生に対して,同様のデータ収集を実施することと,そのなかで変容の理由が明確になるような個別インタビューの実施の必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育実習生の関する質的なデータの収集が実施でき,その文書化が開始されたこと,その一部分析において,次のデータ収集に関する課題が明確になったためである。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定した研究計画に従い,おおむね順調に研究が進展していいる。 今後は,教育実習生のデータをさらに増すこと,現状のデータによる分析を通して明確にできない部分について追加のデータの計画を立てた。具体的には,教育実習前,教育実習後のインタビューである。
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次年度の研究費の使用計画 |
収集したデータの文書化が少々遅れたため,謝金が予定額より残金が生じた。 収集したデータの文書化を4月当初から実施し,そのための費用として本来の目的のために使用する。
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