研究課題/領域番号 |
24653271
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
太田 剛 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40213730)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 情報教育 / プログラミング教育 / 教材開発 |
研究概要 |
本研究は、「プログラミングは仕事の進め方をコンピュータに教える活動である」とみなし、「自分より知識レベルが下の者に対して、仕事の進め方を教える経験」を、プログラミングを学習し始める前に十分トレーニングしておく必要があるという仮説のもと、母語による事前トレーニング教材を設計・開発しようとするものである。 平成24年度は、学生が興味を持ちそうな教材を様々な難易度で揃え、自主ゼミの場で実践してみることを計画した。が、その後、交付前の平成23年度中のパイロットプロジェクトの最終段階で非常に興味深い知見が得られたため、この件に関する学生スキルの現状把握と分析、得られた知見の検証を先に行う必要があると判断した。そこで、トレーニング教材として最も簡単なタイプのものをひとつだけ設計し、これを用いて学生スキルの現状把握と分析を行った。具体的には、約40名の学生を対象に、ある漢字を書く手続きを日本語で記述させ、その記述と実際のプログラミング活動状況の客観的データとを統計的に分析した。結果として、手続きを精確に書き下せる者とそうでない者とでは、プログラム完成までの労力に有意な差が見られた。その差は主に、プログラムの意味的誤りを見つけて直す過程にかかる労力に起因している。さらにこの結果から、最初に書き下した第1版プログラムの質が両者間で違うことが示唆された。この成果は教育システム情報学会誌へ投稿し採録が決定した。 この分析過程において、日本語による手続き記述を採点するための基準が得られた。つまり、学生の記述の何に着目してどのように評価すれば良いかのポイントが明確になった。これは、何を学生に意識させてトレーニングを行えば成果をあげられそうかが、より具体的で明確になったことを意味する。なお、当初計画でこの分析作業は、平成25年度後半に予定していたものである。これを1年前倒しして実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、まずトレーニング課題を複数揃えて実施(平成24年度)し、トレーニングで強化すべき具体的ポイントとその評価方法・基準を明確にしていく(平成25年度)ことを想定していた。しかし実際には、当初計画で平成25年度に予定していたことを先取りできた替わりに、平成24年度に予定していたことは後回しにした。 当初は試行錯誤によってトレーニング課題の難易度調整をする予定であったが、評価方法・基準を先に明らかにできたことで、トレーニング課題の作り方に対する指針が明確になり、難易度やバリエーションの調整が容易になったと自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成24年度に作成した教材に加えて、複数の教材を用意する。学生が記述したものの評価ポイントがどこにあるかを平成24年度に明らかにできたので、当初計画よりも、トレーニング課題の難易度調整は容易にできるようになったと考えている。 2.当初計画にはなかったが、平成25年度に、この教材によるトレーニングがプログラミング学習に対して実際に効果があるかどうかを調査したい。年度前半は、実験群に対してこの教材によるトレーニングを行う。90分×3回程度のワークショップ形式のトレーニングを考えている。後半は、プログラミング授業時の学生の活動状況データを収集し、トレーニングを行わなかった統制群との間でどのような違いが生じるか、平成24年度に行ったものと同様の分析を行う。 3.トレーニング実施経験に基づいて、教師向けの実施ガイド(マニュアル)の整備を始める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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