研究課題/領域番号 |
24653273
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
溝邊 和成 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (30379862)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自然を表すことば |
研究概要 |
本研究の目的は、「日本の伝統文化である自然の事物・現象を表す表現に注目し、和文化融合型理科カリキュラムのモデル開発を行う」ことである。本年度の研究成果は、以下の通りである。 1 関連図書の収集とアンケート調査の作成:日本の伝統文化をして有している自然の事物・現象を表す言葉に関する書籍を収集するとともにそれらから得られた知見をもとに、教育現場での活用に関して簡単な意識調査(教員用、児童用)を準備した。なお、本研究の主旨に基づき、「自然を表すことば」を「日本の伝統や特有の文化とされる自然の事物・現象を表現する言葉一般」としてアンケートを作成するに至った。 2 各地におけるアンケート調査の実施と試行的実践:理科において「自然を表すことば」の扱う意義、理科授業で取り上げたい「自然を表すことば」、学習方法などを項目とした実態調査を依頼し、実施した。アンケートを実施・回収した小学校の地域は、兵庫県内では、神戸市、明石市、小野市、芦屋市、豊岡市、宝塚市、他の都道府県では、東京都、千葉県、大阪府(大阪市)、岡山県、広島県に及ぶ。また、大阪市内の小学校2校に先導的な試行的実践として「自然を表すことば」を取り入れた授業(対象:高学年)を依頼し、児童の意識調査等を行った。得られた結果データは、全て電子化できている。 3 学会で発表:回収したデータの一部を分析・考察し、国内外の学会で口頭発表ならびにポスター発表を行い、情報交流を図った。 口頭発表:溝邊和成(2012),自然を表すことばに関する基礎調査(日本理科教育学会近畿支部大会) ポスター発表:K.Mizobe(2013),The Traditional Words about Nature in Japan(Korean Association of Science Education)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究が予定通りにすすまなかった理由に次の3点が考えられる。 1点目は、研究推進のためのスタッフの確定が十分に行えなかった点である。これは、年度始めから研究内容の範囲決定が十分に行えなかったり、研究内容に対する理解・協力が得られにくかったりしたため、期待する研究体制の確立ができなかったためである。 2点目は、上記に関連して、具体的内容の吟味する時期が遅れた点である。そのほとんどが、単独で吟味・特定する作業となってしまったため、予定していた時間を大幅に超える結果となってしまった。 さらに3点目として、アンケート調査・授業実践にかかわる理由が挙げられる。その一つは、調査時期の中心が下半期の多忙なとき(年末や年度末の時期など)に一部重なった点である。もう一つは、教員もアンケート調査の対象であったため、実施を受け入れてくれる対象校を特定するのに時間を要したことである。アンケート調査に加えて試行実践についても、総論的には賛成する教員も多く見られたものの、年間事業時数等の時間的制約もあったため、実施承諾の小学校を得るのに難航した点が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究推進を図るための環境整備として次の3点を考えている。 第一に、試行実践のための実践教員サポートチームをつくることである。これは、複数名の小学校教員による授業の構想・実践・評価を主たる作業とするグループである。大阪市理科担当教員をコア・メンバーとする。第二に、研究用ホームページを開設することである。所属大学の情報処理センターを介して立ち上げ、関連授業の情報や地域ごとの関連資料の収集を可能にするとともに、研究準備状況や研究成果を公開・更新する。迅速かつ確かな授業実践モデルの共同制作を可能にするためである。第三として、データ管理・整理の担当者を決定・依頼することである。関連書籍や関係資料の整理をはじめ、アンケート調査の結果や授業のビデオ記録のデータ管理は、作業量として相当になると予想される。担当者を用意し、作業負担を軽減することで研究推進を促そうと考えている。 上述のように研究環境を整えながら、本年度は、研究時期を考慮した集中と分散を心がけるようにする。上半期では、これまでのアンケート調査で得られたデータを分析・発表することである。研究代表者が中心となって遂行する。もう一方に授業実践をできるだけ多く集積・分析し、公開することを立てていく。こちらの方は、教員のサポートチームに主体的な取り組みになるよう依頼する。 上半期後半から下半期前半にかけて、複数世代に対する意識調査を実施し、その試行的実践をまとめ、公開することを柱とする。研究対象とする「自然を表すことば」には、後世にも伝えたい伝統的な文化も含まれる点、それへのアプローチとして考えている。研究代表者が中心となって取り組む予定である。 下半期後半では、これまでの研究成果をまとめるとともに、実践例を中心とした事例集を完成させることに集中する。今後の研究の発展も見据えつつ、得られた成果までを具体的な形にしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究経費は、約180万円を想定して、次の3点に重点配分する。 1 関連資料収集、使用教材購入の部(100万円):各授業実践校への資料収集代・教材費・授業準備費を主たる費目としている。 2 授業実践関連の打ち合わせ・資料整理の部(40万円):1つは、パソコン上の連絡・調整も含めたパソコン関連の消耗品費等ならびに会議のための旅費を計上している。もう一つは、データ管理・整理のための消耗品費と人件費・謝金等に充てる。 3 成果発表・公開用資料の部(40万円):学会等での成果発表・情報収集のための旅費・参加費ならびに報告書作成費(事例集・手引書等を含む)
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