研究課題/領域番号 |
24653277
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
今岡 光範 広島工業大学, 情報学部, 教授 (20031817)
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研究分担者 |
影山 和也 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60432283)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 問題設定 / 数学教育 / 教師教育 |
研究概要 |
本研究の目的に即して,次の研究実績を構築した。 1.現職教員の問題設定力の育成に関して,研究代表者,研究分担者,および,研究協力者の喜田英昭氏との共同研究を行い,その成果を,2013年3月の東南アジア地域数学教育学会(EARCOME6)で研究発表した。発表題目は,「Improving teaching practices through group activities with problem posing」で,問題設定を介して教師の適性形成の在り方を実践形態の考察を重ねて発表した。 2.教員養成における問題設定活動の研究として,研究代表者は下村哲氏との共同研究を行い,将来の数学教員をめざす大学生に,コンピュータを活用した問題設定の実践を行い,個人面談での調査を踏まえた分析を行い,その成果を論文にまとめた。その内容を,2013年1月の全国数学教育学会で,発表題目「コンピュータを活用した数学の問題作り(VII)─大学2年生へのインタビュー調査を通して─」として研究発表した。論文は,同学会の数学教育学研究に投稿し現在査読中である。 3.海外に研究発信をする目的で,研究代表者と研究協力者の喜田英昭氏との共著論文「Problem posing through group activities in the upper grades」をルーマニアの数学教育専門誌に投稿し受理された。 4.研究代表者と研究分担者は,2012年7月のPME36やEARCOME6の国際会議に出席し,研究発表を行うとともに,本研究の意義を伝えるための研究交流を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,中等教育を視野に置き,数学教師の問題設定力の向上をめざすものである。そのために(4)つの内容を重点事項として設定したが,その達成度は次のようであり,順調に進展していると考える。 (1) 数学教育における問題設定力の育成に関する理論研究を行う点については,すでに,上記のような研究発表と論文作成を行う際に,国内外の関係する研究成果を収集・分析し,それを基に理論構築を行っていることから,この面の研究は十分に達成できている。 (2) 数学教師の実践を通した問題設定力の向上については,研究協力者の喜田英昭氏の協力を得て,EARCOME6で研究発表を行い,本研究の一つの大きな目的を初年時に達成することができた。この研究目的は多面的な側面を有しているので,次年度も,さらなる研究の発展を期する予定である。 (3) 外国の教員養成での問題設定力との比較研究については,文献研究や国際学会での研究情報などを基に研究を進めている。現段階までに,他の研究にはみられない,本研究の独自な側面が次第に明らかになってきていて,研究は発展してきている。次年度も,そのような面を鋭意検討し,論文にまとめたいと考えている。 (4) (1)~(3)の研究成果を広く公表して数学教育の改善に資することに関しては,上記のような学会発表や論文発表を行ったのと同時に,研究代表者は,2012年11月に島根県高校数学研究会で問題設定力育成の内容を含む講演を行った。本研究の目的に即して,十分に研究活動を行えたと考える。次年度も,さらに本目的に対する活動を展開していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的にこれまで通り,研究目的に即して,研究代表者,研究分担者,研究協力者の協力のもとで,研究を推進していく。研究目的に即して,次の研究計画をたてている。 (1) 数学教育における問題設定力の育成に関する理論研究を行う点については,さらに,新しい研究動向を調べ,本研究に寄与するであろう理論を分析し,本研究独自の理論構築をめざす。 (2) 数学教師の実践を通した問題設定力の向上については,引き続き,研究協力者の喜田英昭氏の協力を要請し,教育実践を踏まえた問題設定力の育成を調べていく。さらに,共同研究を進めて,教員養成段階における問題設定力の育成に関する考察も重ねていく。 (3) 外国の教員養成での問題設定力との比較研究については,文献調査や国際学会での研究情報などを分析し,必要に応じて,専門家を招集したり,小規模の研究会を企画することも考えている。 (4) (1)~(3)の研究成果を広く公表して数学教育の改善に資することに関しては,引き続き,各種の学会や研究会に積極的に参加し,研究発表を重ねると同時に,研究情報を入手し,関係する研究との研究交流を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,コンピュータやプレゼンテーション機器などの,研究発表や論文作成に必要な機器を準備する費用が必要である。そして,学会出席や研究打ち合わせのための旅費を使用する。現段階では,日本数学教育学会,全国数学教育学会,数学教育学会で開かれる各種の学会に出席し研究発表を行うことと,PMEなどの国外の学会にも参加し,広く研究の幅を広げる予定である。そして,必要に応じて,本研究に関係ある研究者を招へいする費用を計画する。 本研究は,次年度が最終年度なので,研究をまとめ,広く公表することを考え,そのための研究経費を計画する。
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