研究課題/領域番号 |
24653278
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉富 巧修 広島大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (20083389)
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研究分担者 |
三村 真弓 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00372764)
伊藤 真 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (70455046)
緒方 満 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (20512297)
水崎 誠 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50374749)
藤原 志帆 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20381022)
河邊 昭子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (80584862)
小長野 隆太 鈴峯女子短期大学, 保育学科, 講師 (60452603)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 各教科の教育 |
研究概要 |
本年度は、主として理論的研究を行った。わが国において過去の音楽科全国学力調査に関する研究は順調に進展し、それらの全体像を正確に把握した。文部科学省が行った第3回の調査である「平成20年度特定の課題に関する調査(音楽)」では、それまでの2回の全国調査とは異なり、コンピュータを用いた個別調査が行われた。また、録音も行われた。実際に、小学校ではリズムづくりの課題で録音をしているし、中学校では歌唱の録音をしている。つまり、小学校学習指導要領・音楽に明記されている「ハ長調及びイ短調の旋律を視唱したり視奏したりすること」という内容に関する実技課題を実施することは可能だったわけである。しかしながら、この内容に関する調査は、まったく実施されなかった。つまり、学習指導要領・音楽において、第1次の試案から一貫して内容に位置づけられ続けてきた「視唱・視奏」(改訂を重ねるたびにしだいにその内容は希薄になっているが、現行のものにも明確に位置づけられている)が、まったく重視されていないということが明らかとなった。 アビトゥーア試験、GCSE試験、全米学力調査(NAEP)音楽試験に関する研究は順調に進展した。 「みえない学力」については、聴取力とくに内的聴取力を中心として研究する方向である。「みえにくい学力」については、視唱力を中心として研究する方向である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
わが国において過去に行われた音楽科学力調査に関する研究は、非常に順調に進展している。さらに、昭和40年代に、岐阜県古川小学校で実践された「ふしづくりの音楽教育」に関する研究は大きな成果を挙げることができた。さらに、独自に開発・作成した「小学校音楽科学力テスト」を実施し、この成果を発表することができた。 英国のGCSE試験、ドイツのアビトゥーア試験、米国の全米学力調査(NAEP)音楽試験については、理論的研究は、順調に進展している。 「みえない学力」については、主として「サイレント・シンギング」を幼児を対象として実験調査を2園で実施した。児童を対象とした実験調査は実施することができなかった。「みえにくい学力」については、小学校学習指導要領・音楽科に明示されている「ハ長調及びイ短調の旋律を視唱したり視奏したりすること」を重視する。この点については、前述した昭和40年代の岐阜県古川小学校での実践の研究や、昭和43年度の信州大学附属松本小学校における音楽の基礎能力診断調査の研究や、昭和27年度の島根県教育委員会編『小学校・中学校音楽科能力表(試案)(昭和27年度)』の研究で順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、「みえる学力」、「みえない学力」、「みえにくい学力」のすべてを含めた「新音楽学力調査」を開発し、試行する。「みえる学力」については、すでに400人を対象として調査を実施した実績がある。この「みえる学力」調査の内容を本研究組織全員で討議し、理解を深める。 平成26年度には、「新音楽学力調査」をより広範に実施する。そのために、研究分担者の役割分担を再確認する。第1に、各研究分担者は、各附属校や研究協力校に「新音楽学力調査」の実施を依頼する。第2に、ドイツのアヴィトゥーア試験、イギリスのGCSE試験、アメリカの全米学力調査(NAEP)音楽の内容を精査し、それらの評価方法を学ぶ。 調査結果をできる限り迅速に集計・分析し、担当の教師にフィードバックする。さらに、HPに公表すると共に、複数の学会で発表し、複数の紀要に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の直接経費のうち消耗品費が予定より少額で済んだため、平成25年度の経費と合わせて適切に使用する。
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