研究概要 |
本研究は,図形の証明することの意味やその理解についての指導研究,および,そのための教材開発を2つの視点:「図の変数性」と「図の定数性」(文字の役割と対比させた視点)から行うことにある。次の5点について研究計画を立てた。①文献研究と考察 ②図の変数性・定数性に関する実態調査問題の作成と実施・分析 ③教材開発 ④指導実践 ⑤教材開発の妥当性とまとめ 平成25年度は研究計画の③④を中心に研究を行った。指導実践を図形の証明を本格的に取り扱う中2「平行四辺形といろいろな四角形」とし,教材開発を行った。中2教科書分析から,図形命題と図の関係は,「A文章のみ,B文章と(文章とは独立した添え)図,C文章の内容に依存した図」に大別できることがわかった。その図の役割の違いから指導計画にC→B→Aを意識した教材を組み込み指導案を作成し,授業実践を試みた。実践校は香川大附属中学校,実践者は研究代表者(風間)である。また、指導前の生徒の実態を把握するプレテスト,指導後の生徒の変容を図るポストテストを作成し実施した。授業実践は,12時間3クラスである。授業はすべてビデオに撮り,授業分析のための準備を整えた。授業分析,プレ・ポストテストの分析の詳細は次年度となるが,授業中の生徒の反応から次の把握ができた。 ・実践当初の命題の添え図は固定されたもの(定数性としての図)と見ていたが後半は仮定にそった図はいろいろあることを掴んできたこと ・命題の図の理解が証明のヒントとして働いていたこと
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今後の研究の推進方策 |
平成24,25年度の成果を受けて,今後の研究課題は次の点にある。 ○「図の定数性」「図の変数性」の概念を文字式と対比させその概念や,証明学習における視点として明らかにする。 そのために,授業において証明活動の内容を明らかにし,教師が目標とする授業活動項目を分析し定め,授業分析を行う。また,プレテスト・ポストテストの分析を行い生徒の変容を明らかにする。・生徒の反応によっては,さらなる分析のために,面接を行い,その回答の内容を確認する。・証明に使う言葉の精選化の過程の指導,効果的な言語活動について検討する。・文字式の指導体系と連動させ,証明活動における「図の変数性」「図の定数性」の概念を明らかにし指導の体系を考察する。 ○「図の定数性」「図の変数性」の考えを証明指導に位置付け,証明指導の質的向上のための提案をする。 ・現場の先生方との意見交換をしながら,新しい図形の証明指導の提案を作成する。・授業の実際を想定し,より洗練した指導案を作成し,その提案をする。
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