本研究の目的は、2004~2006年に行われたIndirect Aggression(‘いじめ’に代表される、あからさまな暴力を伴わない攻撃的行動)の調査において、日本のみが他国と比べて暴力的な色彩の強い行為(わざとぶつかる等)が少ない反面、仲間はずれ等の行為が多 かった原因を明らかにすることを目的としている。 すなわち、上記の特徴が日本社会に固有のものなのか、あからさまな暴力の少ない社会全般に共通するものであるのかを確かめるため、日本と同じかそれ以上に暴力が少ないとされるウェーデンにおいて同様の調査を実施し、発生頻度や影響を及ぼす要因を比較分析する。これにより、欧米では見過ごされがちなIndirect Aggressionに関する研究を、より一般化できる形で理論化し、大規模な国際比較調査へとつなげていく。 3年計画の内の2年目までに、半年ごと計3回の調査を完了する予定を立て、初年度は研究代表者がスウェーデンを訪問しルンド大学の研究者に調査実施(開始)の依頼を行い、応諾してもらった。しかしながら、調査を引き受ける小中学校の関係もあり、初年度及び2年度中の調査実施が困難となって計画がずれ込んだ。 しかし、最終年度にあたる本年度5月に第1回目の調査を完了し、10月には先方の研究者の招聘を行い、今後の予定について話し合いを行った。また、比較分析に資するよう、日本の小中学校にも訪問してもらった。 そして、第2回目の調査は12月に実施され、第3回目については来年度の5月に実施される予定である。 今後の分析に関しては、メールでのやりとり、国際会議の機会等の利用を経て完了することになるが、研究の目的であるデータの収集に関しては、最終的には完了できる予定である。
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