研究課題/領域番号 |
24653287
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
渡壁 誠 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70182946)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / 訪問教育 / ICT活用 / テレビ電話システム / ネットワーク |
研究概要 |
本研究では,特別支援学校における訪問教育において情報通信技術(ICT)を活用する方法を実証的に追及する。本年度はまず,旭川養護学校において1年間の試行段階としてネットワークへの接続許可を得て活用を開始した。対象は高等部3年の生徒1名であった。対象者は自宅にてすでにネットワーク等を活用しており,使用環境は十分に整っていた。養護学校の高等部の学級は少人数で構成されている。また,年数回のスクーリングへの参加で対象者の集団学習に関する対応は比較的満たされている状況にあった。そこで,今回の活用では専門領域の授業を厚くすることを目標とした。英語,国語,保健について専門教員による指導が,このシステムを通じて行われ,従来の訪問教員のみの指導に付加された。また,卒業式の予行演習の中継を行うことで,卒業式を他の生徒と同じような感覚でむかえることができた。また,PCの入れ替え等の理由で,居宅ネットワークによる通信困難になったが,携帯WiFi装置の導入で本研究を継続することができた。 近隣の重度心身障害児者施設の院内学級では,ベッドサイドの教育と集団教育が行われている。ベッドサイドでの対象者を本テレビ電話システムを用いて集団教育の場に参加させることになった。しかしながら,施設内は人工呼吸器や生体情報監視装置などICUに準じた状況であるため,無線LANやPLCの使用が限定され有線での活用を模索する必要が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の対象者が1名であったこと,また高等部の生徒であったため学級規模が小さく個別指導が有効との考えから,当初想定した活用事例(個と集団)と異なっていたことが挙げられる。しかしながら,高等部の生徒を対象としたケースでは本システムの有効性が確認された。重度心身障害児者施設の院内学級において,無線LANシステムが禁忌であることから,有線LANでの活用の再検討を強いられたことも挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
1 関係機関との協力体制について 現在,当該養護学校と話し合い,研究継続依頼等を行う。現状では中学部の生徒からの要望がある。本システムの活用実現と活用方法の検討をすすめ,実際の活用に進む予定である。 2 アンケート調査,聞き取り調査による対象者の変容の追跡 連携研究者である,大久保准教授および三田教授の協力のもと,対象者の変容を追跡する検査方法の開発,実証を行う。 3 最適システムの検索 ウェブカメラ以外の情報の提示方法の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度,対象者が1名であったため研究経費に余剰があった。次年度,複数の対象者が候補として挙げられている。また,利用者拡大のために,居宅にネットワークが無い場合,携帯WiFiとタブレット端末を活用する。加えて,集団の映像などを配信する場合,Webカメラ以外の映像装置(カメラ等)の活用も検討に値する。 加えて,本年度参加できなかった学会等にも参加し,研究成果の公表を行う
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