研究課題/領域番号 |
24653290
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
榊 守 茨城大学, 教育学部, 教授 (50196060)
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研究分担者 |
佐々木 敦 釧路工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (40215710)
佐藤 英樹 釧路工業高等専門学校, 電気工学科, 助手 (20235378)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 視覚支援装置 / 感光器 / 光プロ―ブ |
研究概要 |
盲学校の授業における実験では他の人の作業を観察して理解することはできない。そのためグループ実験は基本的に無理となる。従って,一人1セットの実験装置が理想である。本装置の主要部は3千円の制御部とフォトダイオードおよびスピーカで構成されるため,1台1万円以内で製作しキット化する計画である。この装置キットを教員の指導のもと,技術や工作の時間に生徒が自分専用の感光器を組立できるので,個人所有の視覚支援器具となる。 本研究で開発している感光器は低照度の状況下においても対応できるため,紙面上に映した月や星の望遠鏡像を観測できる。したがって,盲学校の児童に「月や星の動きの単元(小学部4年)」,「太陽と月の形の単元(小学部6年)」おいて月の満ち欠けなどの理解を支援することもできる。さらに、市販されている感光器では測定できない化学反応で発生する煙の認識,半透明のBTB溶液の色の変化を認識できるようになる。 本研究では,感度が数段階に自動的に切り替えでき,計測した明るさを音階で出力できる感光器を開発している。 24年度は制御部にルネサスエレクトロニクスGR-SAKURAを採用することにより、開発環境が簡単化することができた。さらに、ルネサスエレクトロニクス社から、スマートアナログシールドの提供を受け、GR-SAKURA+スマートアナログの構成でシンプルな構成の感光器を実現することができた。また、照度は音階で表現することが可能となった。 現在、茨城県立盲学校にて実際に使用していただき、改良点を探るための検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制御部のワンチップマイコンにはルネサスエレクトロニクスGR-SAKURAを採用することにより、C言語による開発環境がクラウド化でき、開発時間の短縮とプログラム開発の負担が軽減できた。さらに、ルネサスエレクトロニクス社から、スマートアナログシールドβ版の提供を受けたことから、GR-SAKURA+スマートアナログの構成でシンプルな感光器の構成を実現できた。 さらに、装置のアクリル製の筐体試作には前倒請求予算で購入したレーザー加工機を使用したため、製作工程の短縮と加工精度の向上が得られた。 以上の理由から、24年度の目標をすべて順調に達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は検証結果を踏まえ、感光器の自動感度切り換えプログラムを改良考案し試作する。試作品を盲学校で実際に使用しさらに改良点を探る。 26年度は装置全体の試作品を完成させ,茨城県立盲学校と筑波大学付属視覚特別支援学校で実際に使用し検証を重ね,実用レベルの装置を提供できるようにする。なお、この感光器は製作キット化を行う。 この感光器キットを教員の指導のもと,技術や工作の時間に生徒が自分専用の感光器を組立できるようにしたい。この感光器に関しては関連学会での口頭発表,国内外の論文誌に発表,盲学校の教員対象に講習などを通して普及に努めたい。感光器の回路図,部品一覧,配置図,製作方法の詳細はWEB等で公開する計画を持っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に購入した工作機械の消耗品および試作装置の改良のための電子部品(CPU,ロジック,ドライバー,基板製作用品),素材(機構部品の素材と加工用治具製作のための素材)などの消耗品を購入する。研究協力者との打ち合わせ旅費(水戸-東京往復),および学会発表などのためにの旅費を使用する。
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