• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

ニーズとライフスタイルを踏まえた吃音がある中学・高校生の教育・支援方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24653291
研究機関金沢大学

研究代表者

小林 宏明  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (50334024)

キーワード吃音 / 中高生 / 通級による指導 / マルチメディア教材
研究概要

本年度は、以下の研究を行った。
(a)「吃音スタディーブック中高生版」試作版の作成 マルテメディア自学教材である「吃音スタディーブック中高生版」試作版を作成し、後述の「吃音のある中高生のつどい」で吃音のある中高生及び吃音のある人のセルフヘルプグループ言友会会員の方に試用してもらい、感想や意見を伺った。「吃音スタディーブック」は、(1)吃音の基礎知識、(2)吃音の言語症状、(3)吃音への対処方法の提案などから構成されていた。また、中高生が興味を持ちやすいように、クイズやロールプレイングゲーム形式、ビデオ画像を取り入れた。中高生や言友会会員の方からは、「わかりやすい」、「おもしろい」など、概ね好意的な感想が得られた。
(b)「吃音のある中高生のつどい」の実施 部活動などの学校生活への影響が最小限となる夜間もしくは休日に計6回のつどいを実施し、毎回1~7名の中高生が参加した。つどいでは、(1)レクリエーション、(2)吃音の話し合い、の2つの活動を行った。(1)では、初めての場所や人に慣れ、参加者同士で打ち解けた雰囲気を作ることを目的に、ゲームなどの活動を行った。ゲームの内容を選択する際には、参加者が吃音のため発話することが困難であることを考慮し、ジェスチャーゲームなど発話を必要としないものや、吃音のある人でも比較的発話しやすい少人数での発話の活動を行った。(2)では、各自の吃音についての困難や思い、不安等を話し合う「話し合い」や、前述の「吃音スタディーブック中高生版」試作版などを用いた吃音についての情報提供、言友会会員による体験談発表などを行った。参加した中高生やその保護者に対して行ったアンケートでは、「おもしろかった」、「ためになった」、「また、行きたい」など、概ね好意的な感想やコメントが得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書では、本年度は、(1)「吃音スタディーブック中高生版」を完成させ、吃音のある中高生に「吃音スタディーブック中高生版」を用いた吃音臨床を実施する、(2)「吃音夜間講座」のカリキュラムを完成させ、吃音のある中高生に「吃音夜間講座」のカリキュラムを用いた吃音臨床を実施することになっていた。
実際の今年の研究の進捗状況は、(1)については、「吃音スタディーブック中高生版」試作版を作成し、後述の「吃音のある中高生のつどい」において、実際に試用版を用いた吃音臨床を行うことが出来た。本年度は、本研究の最終的な目的である、家庭での自学を中心とした吃音臨床を行う迄には至らなかったが、概ね研究計画通りに進捗することが出来たと考えている。
また、(2)については、本年度は当初計画では、2名程度の小グループを対象に「吃音夜間講座」のカリキュラムに基づく吃音臨床を実施することになっていたが、実際に参加者を募集したところ当初予定よりも多くの参加者が得られたことから、1~7名の参加を得て、年に6回の「吃音のある中高生の集い」(「吃音夜間講座」を改名)を実施し、「吃音夜間講座」カリキュラムの検証を行うことが出来た。従って、(2)については、本年度当初計画を上回る研究成果を挙げることが出来たと考えている。

今後の研究の推進方策

この2年間の研究で、「吃音スタディーブック中高生版」の骨子を完成することが出来たので、残り1年の研究で、中高生が興味を持って取り組みやすいような工夫をさらに取り入れる(具体的には、当初計画に挙げた 音声認識システム Must ER の導入など )と共に、より多くの中高生がアクセス可能なように、「きつ音スタディーブック中高生版」の Web 公開などを進めていく。また、これまで実施出来ていない、家庭での自学を中心とした吃音臨床の実施も検討していく。
また、「吃音のある中高生のつどい」については、次年度も引き続き実施し、その臨床成果を踏まえて「夜間吃音講座」カリキュラムのさらなる改善を図っていく。また、それと関連して、これまでの「吃音のある中高生のつどい」の中で、吃音のある成人の方による体験談発表や話し合いでの発言などが、「メンター(信頼のできる相談者)」として「夜間吃音講座」カリキュラム構成上重要なことに鑑み、「吃音夜間講座」を担当されるメンターとしての吃音のある成人の方の養成講座の実施を新たに検討する。

次年度の研究費の使用計画

前年度に、タブレット端末や教材作成機材を集中的に購入し、本年度は、機材などの購入がほとんど必要なかった。また、当初、ビデオ教材作成において支出する予定であった言友会会員の方への謝礼などが、実際には、ボランティアで引き受け下さる方が多く、当初見込みよりも大幅に減額となった。さらに、「吃音のある中高生の集い」の実施に見込んでいた経費の多くが、大学の既存備品などを流用することで不要となった。
次年度は、「吃音スタディーブック」の内容充実のためにイラスト画像を多く取り入れる計画である。そのイラスト作成(イラスト作成者への謝礼など)に一定の費用が必要となる予定である。また、「吃音スタディーブック」Web版を作成する際に必要な技術的費用(新たなパソコンソフトの購入等)が一定必要となるとも見込んでいる。さらに、吃音のある成人の方のメンター養成を新たに行うにあたり、その講座で用いる教材費などに一定費用が必要となる。本年度の会計で生じた次年度使用額は、これらの費用に当てていく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 吃音のある子どものグループ指導プログラム作成の試み(2)「吃音のある子どものつどい」指導経過の分析に基づく検討2013

    • 著者名/発表者名
      小林宏明、小林葉子
    • 学会等名
      第51回日本特殊教育学会抄録集
    • 発表場所
      明星大学日野キャンバス
    • 年月日
      20130830-20130901
  • [備考] 吃音ポータルサイト

    • URL

      http://www.kitsuon-portal.jp

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi