本年度は、以下の研究を行った。 (a)「吃音スタディーブック中高生版」の作成 昨年度作成した、「吃音スタディーブック中高生版」試作版をもとに、「吃音スタディーブック中高生版」の作成を行った。「吃音スタディーブック中高生版」は、吃音の基礎知識、吃音の言語症状、吃音対処方法の提案などから構成した。また、試作版に対する吃音のある中高生、吃音のある人のセルフヘルプグループ言友会の会員の方、吃音のある子どもの保護者、中高生吃音臨床の研究者の意見を踏まえ、(1)中高生に親しみをもってもらえるように、中高生のキャラクターを設定すると共に、(2)実際に中高生が活用することが多いと考えるスマートフォンでの視聴を前提とした画面構成とした。 (b)「吃音のある中高生のつどい」の実施 部活動などの学校生活の影響が最小限となる夜間に計5回のつどいを実施し、毎回、1~6名の中高生が参加した。つどいでは、レクリエーション(アイスブリーキング)、吃音の話し合いの2つの活動を行った。吃音の話し合いでは、昨年度同様、参加者それぞれの吃音についての情報や思い、不安などを話し合う「話し合い」や、吃音のある成人の方の体験談発表や質疑応答などを行った。つどいでは、4名の中学生が「固定メンバー」としてほとんどの会に参加し「吃音のある仲間」としての連帯感を高めたり、女性の高校生の参加者同士が休み時間などを含めて盛んにおしゃべりをして楽しんでいる様子などが見られた。参加者した中高生や保護者に対して行ったアンケートでは、「おもしろかった」、「ためになった」、「また、行きたい」など、概ね好意的な感想やコメントが得られた。また、参加いただいた吃音の成人の方からも、「このような会は、中高生にとってとても有意義だと思う」というコメントが得られた。
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