研究課題/領域番号 |
24653294
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
池谷 尚剛 岐阜大学, 教育学部, 教授 (70193191)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 交流及び共同学習 |
研究概要 |
本研究では、障害のある子どもと障害のない子どもとの「交流及び共同学習」について、岐阜県の小・中学校を対象とする実態調査を実施し、現状と課題を明らかにすることをとおして、本県におけるインクルーシブ教育を推進する立場から、義務教育における一貫した「交流及び共同学習」の教育プログラムを提示することを目的としている。平成24年度においては、岐阜県内の全ての小・中学校における「交流及び共同学習」の実態調査を実施し、現状と課題を明らかにした。 小学校(376校)の調査は316校から回答(回収率84.0%)があり、「交流及び共同学習」を実施しているが274校(86.7%)、非実施が42校(13.3%)であった。全体計画者は「学年主任,学級担任」が183校(66.8%)、「特別支援教育コーディネーター」が102校(37.2%)となった。特別支援学校、施設・作業所等の障がいのある人との活動を実施しているのは42.8%の学校で,そのうち「特別支援学校」が59.3%、「施設・作業所」が31.1%となった。小学校の「交流及び共同学習」は多くの学校で実施されていることが明らかとなったが、実践の内容や取り組み方、また時間数等、学校ごとに大きな差があることが課題として示された。 中学校(196校)の調査は142校から回答(回収率72.4%)があり、「交流及び共同学習」を実施しているが79.6%(113校)、非実施が20.4%(29校)となった。特別支援学校、施設・作業所等の障がいのある人との活動を実施しているのは27.4%(31校)にとどまり、そのうち特別支援学級設置校が29校であった。中学校では、特別支援学級設置の有無が実践内容や時間数等の違いになっていて、各学校が地域のリソースとどのように連携していくかの課題として示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岐阜県の全小中学校における現状と課題を実態調査で明らかにすることを目的とした研究として一定の成果を出すことができたと自己評価している理由として、調査の実施にあたって、岐阜県小中学校長会の調査協力が得られたことによって、小学校84%、中学校74%という高い回収率につながったものと関係者に感謝している。特別支援教育が小中学校で推進されていることと併せて、交流及び共同学習への取り組みが多様化してきていることが調査結果から推測されるが、年度末に結果概要を送付したことへのレスポンスを見ても、実践を担当する先生方が高い関心を持って回答していただいたことがわかり、次年度の研究を進めることへの期待に繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、「交流及び共同学習」の小・中学校一貫の教育プログラム(モデル試案)を岐阜県内の全市町村別に中学校単位で作成し、小・中学校にフィードバックすることで教育プログラム(モデル試案)の評価を依頼する対話型の調査を実施することを目的として、次の①、②、③の研究活動を計画している。尚、平成24年度の研究成果については、平成25年8月に開催される日本特殊教育学会にてポスター発表を行うことにしている。 ① 平成24年度の調査結果について調査報告書を作成するとともに、中学校区別(1中学校と複数の小学校)に「交流及び共同学習」に関わる地域リソースをデータを編集・提供し、併せて小・中一貫プログラムに関する調査を実施する。 ② ①の調査結果を受けて、全ての小・中学校を対象として、①の「交流及び共同学習」の系統性に関する分析から抽出された各中学校区別のプログラム(モデル試案)を作成・郵送し、このプログラム(モデル試案)に対する対話型調査(一貫プログラムの有効性の評価、平成26年度以降の教育課程への活用に関する意向調査を内容とする対話型調査)を実施する。 ③ ②を受けて、地域資源に応じた小・中学校一貫の教育プログラム(モデル試案)の最終的な取りまとめを行う。そして、本研究の研究成果について、6圏域及び各自治体別の教育プログラム(モデル試案)報告書を作成し、関係機関に調査報告書を送付する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の残余金をもって、平成24年度分の調査報告書を作成する。 平成25年度分については、研究発表旅費10万円、研究補助15万円、調査報告書作成・郵送費25万円の合計50万円を計画している。
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