1.研究の目的及び方法:岐阜県の全小・中学校572校を対象に、当該自治体及び学区内の障害関係施設に関する情報提供とそれらの施設との交流及び共同学習に関する連携の実態等を明らかにすることを目的とした質問紙調査を実施した。 2.結果:回収率は全572校中414校(72.4%:小学校73.1%、中学校70.9%)であった。 ①学区内の障害関係施設数の平均は、小学校1.1施設、中学校1.9施設となった。また、学区内に障害関係施設がないと回答した小学校は121校(44.0%)、中学校は45校(32.4%)であった。②連携している障害関係施設の平均は、小学校2.0施設、中学校1.6施設となった。障害関係施設と全く連携していない小学校は46校(16.7%)、中学校は30校(21.6%)となった。一方、学区内に施設はあるが、連携していないのは小学校16校(10.6%)、中学校17校(18.1%)、学区内に施設がなく連携もしていないのは小学校で32校(11.6%)、中学校で13校(9.4%)となった。③連携方法は「施設見学」が最も多く、次に「資料、写真提供」、「施設職員が授業に参加した」、「施設利用者が授業に参加した」となった。④障害関係施設の種別は、社会福祉協議会、日中活動サービス事業所、児童発達支援事業所が上位3種類となり、その連携方法は、「情報交換・意見交流」や「研修会への参加」等、多様な連携方法が展開していた。 3.考察:今回の地域リソース情報の提供と実態調査により、地域のリソースと連携した交流及び共同学習は、障害関係施設の有無が制約となっていること、多様な連携方法が見られること等が明らかになった。今後、インクルーシブ教育の推進に向けた交流及び共同学習を全ての学校教育で展開するには、地域のリソースに関する情報に基づいた交流及び共同学習のプログラムを作成することが望まれる。
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