研究課題/領域番号 |
24654004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
落合 理 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90372606)
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キーワード | Coleman写像 / Coleman family / p進モジュラー形式 |
研究概要 |
今年度は, (1) ガロア変形に対するColeman-PerrinRiou写像と呼ばれる写像を構成するための研究 (2) 虚数乗法をもつヒルベルトモジュラー形式の岩澤主予想の研究 (3) 特異点を持つ変形環上のEuler系の理論に関連した混標数の完備可換環の研究 で大きな進展があった. (1)の研究は, 私自身が発表した以前の発表論文“A generalization of the Coleman map for Hida deformation”(American Jour. of Math., 2003)で得られていた ordinary かつ階数 2 という仮定の下でのガロア表現の Bloch-加藤の指数写像の補間をnonordinaryへと一般化したものである. Filippo Nuccio氏との共同研究で上記論文の結果を階数は 2 で non-ordinary Coleman family へと一 般化することを目指していたが, 現在はほぼ細部のステップまで検証が終わりつつあり, 実際論文作成の段階までこぎ着けている. 年度内に論文を書きあげるまで至らなかったが共同研究の最初の論文の執筆は最終段階に近づきつつある. (2)の研究は, 以前に虚数乗法を持つ楕円モジュラー形式の場合にPrasanna氏と重なっていた研究をヒルベルトモジュラーの場合に一般化するものであり, 原隆氏との共同研究である. こちらも論文執筆の最後の段階に近づきつつある. (3)の研究では, 混標数の完備正規局所環をイデアルで特殊化するときにどれくらい正規性が保たれるかを定量的に記述する論文を投稿していたが, 査読レポートにしたがって何度かの徹底したrevisionを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
可換環論の仕事に関してはほぼ論文を作成することができた. どの研究もかなりの細部まで検証や執筆が進み, 少しずつ進展して完成に近づいているが, 年度内に執筆が完成することを自己ノルマとして課していたのが実現しなかった意味でやや遅れているという項目を選んだ.
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今後の研究の推進方策 |
特に, Nuccio氏との共同研究と原隆氏との共同研究の最初の論文を完成させて投稿することを目指したい. Nuccio氏との研究は最初の論文を仕上げた後もその続きとなる岩澤主予想的な研究が議論されており, 最初の論文の執筆と投稿が済んだ後は次のステップに進みたい. 原氏との共同研究も同じく, 最初の論文を仕上げた後は肥田変形の絡む次の継続研究プランが明確に定まっている. こちらの研究も最初の論文の執筆を投稿が済んだ後は同様に次のステップに進んで行きたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は, 大型の国際研究集会を研究代表者として12月に京都大学数理解析研究所で開催した. その都合上, 準備などで予想より多くの手間と問題が生じたため, 予定した共同研究者との打ち合わせなどを十分行えなかった. 昨年度に十分行えなかった共同研究者との打ち合わせを行いたい. また, 今年度は, UC Berkelyへの長期滞在, 韓国での2回の国際研究集会発表, インドでの国際研究集会の発表も予定しておりそれらの海外旅費の一部としても使用を予定している.
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