研究概要 |
今年度は, 写像類群の重みフィルター付けから生じる次数加群やそれを包含する導分作用素のなす加群に生じる対称群の表現を既約分解する計算について考察を進めた. 特に 英国ケンブリッジのニュートン研究所におけるプログラム “Grothendieck-Teichmuller Groups, Deformation and Operads (GDO)” に参加して, F.Brown 博士との共同研究を開始することにより, 従来よりも計算アルゴリズムを格段に改良することが可能となり, 算出次数の範囲を倍増させることが出来た.その計算結果を詳細に観察することにより, Johnson準同型に関して以前立てた予想のひとつのエビデンスが強化されるとともに, 新たに顕著な現象が存在する可能性が見いだされ, いくつかの予想の一つには証明を与えることができた. このため Brown博士との共著論文について執筆方針について意見をまとめ, 執筆を開始することになった. このほかに楕円曲線の特別な族に関する情報や,アルチン組み紐群・2橋結び目などのアルゴリズム的側面について情報を収集し, またこの研究課題での利用が有効と思われる非可換語の取扱いについての最近の著しい進展について知見を広げることが出来た.これらとともに, アソシエーターに関するWojtkowiak 氏との共同研究であるエル進多重関数の岩沢理論的な振る舞いについて検証を進め, 次年度に向けて継続的に考察する課題とした.
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