研究概要 |
今年度前半は,写像類群のジョンソン準同型についての課題に関する現状整理を行い,考察の範囲を広げた.とりわけ2013年5月3日から7日の週に東京大学大学院数理科学研究科において,同研究科の河澄響矢氏と逆井卓也氏と共同開催の形で Workshop“Johnson homomorphisms”という集会名の国際研究集会を企画実施した.この中で位相幾何学と数論の両側面から内外の専門家を招き最先端の研究結果を発表していただいた.多くの講演においてJohnson準同型に関連する重要な進捗が報告され, 森田障害,榎本-佐藤障害,マグナス展開,Burau表現,交叉2重括弧, Goldman-Turaev Lie bialgebra,ガロア障害,非アーベル岩沢理論などをキーワードとして活発な研究交流が行われ有意義であった.また筆者自身もSome observation in Johnson homomorphismsというタイトルで講演を行い,当該課題の進捗状況の一部について報告した. 9月に研究拠点を岡山大学から大阪大学に移動することになり,研究資料の梱包や計算機環境の慎重を期したバックアップなどに予想外の時間と労力を費やしたが,ファイルや書籍の整理の合間にいくつか埋もれていた事項に注意を向けることもできて,それらの当該課題との関連づけや位置づけについて若干の認識の進歩も見られた. 年度後半になり, 大阪大学において計算機環境を含む研究環境を一新したあとは,楕円曲線に関連する計算を試行し,当該課題に関係する問題についてもプログラムの改良と若干のデータの蓄積を得ることが出来たので,次年度のテーマの継続につなげたいと考えている.
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