研究課題/領域番号 |
24654009
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
芥川 一雄 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80192920)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 調和写像 / アインシュタイン計量 / 理想境界 / 直積多様体 / 幾何解析 |
研究概要 |
非正断面曲率を持つ非コンパクト等質多様体の典型例である双曲型空間の直積を取り上げ,それらの間の調和写像の存在問題を研究することである.この直積空間の無限遠理想境界としては,先ず測地的半直線によるEberlein-O'Neil理想境界などが考えられるが,本研究では,この境界の適切な部分集合を無限遠理想境界とすることによって,調和写像に関する無限遠境界値問題の解の一意性と可解性を導くことを目的としている. また,アインシュタイン計量も調和写像と多くの幾何的類似を持つ.第二の目的は,双曲型空間およびそれらの直積上のポアンカレ・アインシュタイン計量の存在問題を研究することであった. 先ずは,先行するポアンカレ・アインシュタイン計量に関する既知の結果の学習を 行った.それをもとに調和写像の研究を行なったが,当初計画していた双曲型空間の直積空間の間でその存在問題を考えるのは,最初に考察する問題としては適切ではないことが分かった.第一に考えるべきは,双曲型空間の直積から双曲型空間への調和写像の存在問題であることを理解した.つまり,ターゲット空間として直積空間は適切でない.また理想境界としては,シロフ境界が適切であることも理解した.平成24年度は,具体的成果は得られなかったが,今年度得られた考察は,次年度以降の具体的成果への基礎となる. 連携研究者の相山玲子氏とは,本研究課題と関連する,4次元ユークリッド空間内の 曲面と平均曲率流の研究を行い,曲面のreduction定理を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究過程で,当初計画していた双曲型空間の直積空間の間で調和写像の存在問題を考えるのは,最初に考察する問題としては適切ではないことが分かり,計画を変更した.第一に考えるべきは,双曲型空間の直積から双曲型空間への調和写像の存在問題であり,ターゲット空間として直積空間は適切でないことを理解した.その他,研究過程で本研究の様々な困難さに気付き,それらを一つ一つ克服する必要があり,成果を得るにはもう少し時間がかかる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,平成24年度の研究をもとに,調和写像およびポアンカレ・アインシュタイン計量,特に双曲型空間の直積から双曲型空間への調和写像の存在問題を研究する. 海外からRafe Mazzeo氏(アメリカ・スタンフォード大学)を招聘し,双曲型空間の直積から双曲型空間への調和写像に関して,直接の研究連絡を行う. 連携研究者の山田澄生氏(学習院大学),相山玲子氏(筑波大学)とは,関連する幾何学的フローの研究連絡を行い,本研究へ応用していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
海外からRafe Mazzeo氏(アメリカ・スタンフォード大学)を招聘し,直接の研究連絡を行う.連携研究者の山田澄生氏(学習院大学),相山玲子氏(筑波大学)とは,定期的に研究連絡を行う.研究代表者芥川の海外出張により,海外共同研究者との直接の研究連絡も行う.国内外で開催される研究集会やセミナーに積極的に出席して,最近の研究成果に関する情報の収集,研究代表者等の成果発表,および参加者との討論を行う. 研究費は,主にこれらのための旅費として使用する予定である.
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