本研究の結果次のような知見が得られた。 (1)東北大学の三石史人氏との共同研究により、アレクサンドロフ空間の局所リプシッツ・ホモトピー構造が解明された。(2)リッチ曲率が一様に下に有界なリーマン多様体の極限空間は、その正則部分において、ある弱い意味で計量がリプシッツ連続である(最近のコールディングとネイバー両氏の研究)。この事実から、リッチ曲率が一様に下に有界なリーマン多様体の極限空間に対して、タタルの一意接続定理を拡張できる可能性が出てきた。(3)曲率が-∞に発散しつつ崩壊する曲面の上でシュレディンガー型作用素のスペクトル極限を考察することが、量子グラフの波動の研究に役立つことが分かった。
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