本研究の目的は,離散的対称空間論の構築に向けて,対称空間論とカンドル代数の双方の研究を連携させながら行うものである.平成26年度の研究実績は以下の通りである. (1) 研究協力者により,有限な二点等質カンドルおよび有限な巡回型カンドルの分類が得られた.この結果は,昨年度までに研究代表者によって得られていた元の個数が素数の場合の分類を,大幅に一般化したものである. (2) 研究協力者である大学院生と共同で,カンドルに対して平坦性の概念を定式化し,有限かつ連結な平坦カンドルの分類を得た.そのようなカンドルは素数冪位数の二面体カンドルに限る.この結果は,平坦なコンパクト対称空間の良く知られている分類と対応するものであり,興味深いとい考えられる.この結果をまとめた論文を現在執筆中である. (3) カンドルに関するこれまでの研究成果を,Part I・Part II と題する解説論文にまとめ,それぞれ別の研究集会の記録集に掲載した.書かれている内容は,対称空間論を知っていれば当然だが明示的に書かれた文献が見当たらない,小さな新しい結果も含んでいる.
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