研究課題/領域番号 |
24654017
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
橋本 義武 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20271182)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
4次元多様体のエキゾチック微分構造の研究に応用される4次元N=2超ヤン・ミルズ理論は,6次元理論を介して2次元共形場理論に関係づけられる,本年度は,土屋昭博氏(IPMU)と共同で2次元共形場理論の研究を行った.現在その成果を論文にまとめている. 4次元N=2超ヤン・ミルズ理論におけるインスタントンのモジュライ空間のコホモロジーに,2次元共形場理論におけるW代数の表現が構成されることが予想されているが,W代数の表現論についてはまだよくわかっていないことが多い.特に,W代数の表現のテンソル積(フュージョン・テンソル積とよばれる)の定義を与えることが重要な問題である. 本年度の研究で,頂点作用素代数の普遍展開環の稠密な両側イデアルを用いて,3点つき射影直線上の余真空ベクトル空間として,フュージョン・テンソル積が定義できる,というアイデアに向けて,基本的諸概念の整備,基本的な諸補題の定式化と証明を与えることができた. フュージョン・テンソル積の結合則や,普遍展開環上の左加群の圏と両側加群の圏の間のテンソル積を保つ圏同値は,4点つき射影直線上の余真空層の因子化として定式化される.この因子化定理は,左加群の圏が半単純である場合には知られているが,半単純でない対数的共形場理論においては,普遍展開環の稠密な両側イデアルを用いることにより,やや弱い形の因子化定理(リーマン面が退化するところのまわりでの余真空層の局所自由性は主張しない)が成立することが予想される.余真空層の双対である共形ブロック層の因子化の場合は,中山の補題を適用することができ,退化したリーマン面に対する因子化が,そのまわりで共形ブロック層が局所自由であることを導くことがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論の要である非半単純型共形場理論の因子化定理と,その応用としてのフュージョン・テンソル積,左加群/両側加群対応について,技術的課題が明確になり,基本的補題の定式化と証明を与えることができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず現在作成中の論文を完成させる.因子化定理におけるズー代数の役割を明確化する.フュージョン・テンソル積の理論により,量子群の1のべき根における表現論との関係を確立し,3次元多様体の不変量に応用する.特に,4次元多様体のエキゾチック微分構造を判定する不変量への応用が目標になる.具体的な問題としては,結び目のスライス種数に関連する不変量に関する知見を得たい.
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次年度の研究費の使用計画 |
東大IPMU,京大RIMS,大阪市立大学数学研究所などへ出張し,研究者と議論し,専門的知識の提供を受ける.論文作成のためソフトウェア,プリンタ用紙,トナー等を購入する.関連する書籍を購入する.
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