研究課題/領域番号 |
24654018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西浦 廉政 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (00131277)
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研究分担者 |
寺本 敬 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (40382543)
小布施 祈織 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (90633967)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 自己組織化 / トンネル現象 / 反応拡散系 / 流体 / 応用数学 / 空間局在解 |
研究実績の概要 |
本年度は振動するテールをもつTSO(Traveling Spot with Oscillatory tail)の不均一場におけるダイナミクスの有限次元系への帰着を空間1次元及び2次元の場合に実施した。具体的な導出に際しては、ドリフト分岐点における線形化作用素の固有関数の具体的形状が不可欠となるが、ある条件を満たす3種反応拡散系では、陽的にこれらを計算することができるので、そのクラスにおいて帰着を試み、具体的に導出した。定性的にはこれまでに実施した元のモデル方程式の数値計算の結果を十分に反映する有限次元系となっていることが確認できた。具体的には空間2次元に対しては4個の未知数をもつ非線形常微分方程式系となるが、スリット形状に対する軌道のダイナミクスはクラスタリングや初期値への敏感な挙動も含め、元のモデル方程式の振る舞いと定性的に一致した。またスリット近傍でのpinning解なども同様に存在することが判明した。空間1次元に対しては、未知数が2個であり、より詳細な解析が可能となり、2次元でのスリットに対応するバンプ型の不均一性に伴う平衡点の存在やその安定性が厳密に証明できた。不均一性の強さの変化によって生じる、反射―振動的pinning―定常的pinningの軌道の振る舞いの階層構造は振動するテールという波動的側面を反映するものと考えられる。以上のように有限次元系への帰着は、粒子性と波動性の連関を調べる上で、極めて有用な情報を与えてくれるものであることが判明した。これらの結果は学術論文にまとめ今後発表予定である。
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