科学の諸分野で、高次元空間上の関数の積分値を精度よく近似計算する必要が起きる。モンテカルロ法が一般的計算手段だが、N点サンプルをとった時の誤差のオーダーは1/√Nである。準モンテカルロ法とは、空間内に超一様に配置されたN点をサンプルとすることで誤差のオーダーを1/N近くに減らす手法である。2013年に研究代表者はより高次の誤差収束O(N^{-Clog(N)})を実現するような点集合評価基準Walsh Figure of Merit(WAFOM)と、その高速計算法を発表した。本年度においては、Walsh Figure of Meritに「微分感受性パラメタ―」を導入することで、より高次元な空間上定義された非積分関数に対しても誤差収束が高速であるようなWAFOM点集合を構成した。さらに、それを多変量正規分布の累積度数関数に使用して、実際におおくの既存の数式処理ソフトウェアよりも数十倍高速であることを示した。成果は、2015年7月にオーストリア・リンツにて開催された国際会議10th IMACS Seminar on Monte Carlo Methodsにて口頭発表した。
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