研究課題/領域番号 |
24654029
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 講師 (40247820)
|
研究分担者 |
岡 宏枝 (國府 宏枝) 龍谷大学, 理工学部, 教授 (20215221)
伊藤 敏和 龍谷大学, 経済学部, 教授 (60110178)
辻上 哲也 龍谷大学, 理工学部, 教授 (80243179)
|
キーワード | 螺旋葉序 / 連分数 / タイリング / 複素葉層構造 / 折り紙 / モース指数 |
研究概要 |
相似変換の対称性をもつボロノイ螺旋タイリングについて、リーマン面上の多重タイリングの枠組みで定式化したうえで、その生成元が作るパラメータ空間の構造を明らかにした。それは三角形螺旋タイリングの場合よりも次数の高い実代数曲線の族として表され、連分数と関連があり、その和集合は、多重度を固定するとき単位円板上で稠密でないが、多重度を固定しなければ稠密となる。divergence angle を固定して plastochrone ratio を 1 に近づけるときの四角形タイルの形状の極限を考えると、divergence angle が二次無理数の場合、極限集合は有限となる。とくに divergence angle が黄金比と対等のときは、四角形タイルの極限は正方形である。 三角形螺旋タイリングや、円筒上の螺旋タイリングにおいても、divergence angle を固定してタイルの形状の極限集合を考えるとき、同様の結果が得られた。 三角形螺旋タイリングの剛体折り紙における自動展開の動きを、計算機上でシミュレーションした。また、正多面体の対称性をもって球体を充填する螺旋的曲面を、三次元プリンタを用いて製作した。 複素線形1-形式が定義する線形分布の Jordan 標準形を与えた。さらに、その摂動と実超球面との接点集合が空でなく、実二次元の枝をもつことを示した。遺伝子ネットワークの時系列解析の問題を力学系として考え、大域的アトラクタのモース分解について計算した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボロノイ螺旋タイリングの研究について、まとまった研究結果を得た。三角形螺旋タイリングの場合よりも、パラメータ曲線の次数は高いが、ほぼ並行した議論を展開することができた。さらに、divergence angle の数論的性質に関連する結果を得ることができた。 複素線形1-形式の球面横断性については、ジョルダン標準形として一般論を整備することができた。さらに、その摂動に関する幾何学的結果と合わせて、査読論文の掲載が決まっている。 三次元プリンタを利用した製作的研究を進め、剛体螺旋折り紙のシミュレーションを製作することもできた。力学系の位相的・計算的方法については、国際学会等で成果を発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
相似変換群が作用する螺旋タイリングに関する研究結果を参考にして、放物螺旋が作るボロノイ分割について分岐理論の観点から理論の整備を試みる。放物螺旋の三次元造形への応用を考える。剛体折り紙の見地から、三角形螺旋タイリングの折り紙の特性について調べる。ビーズ編みによって作られる区分的線形な曲線および曲面を、離散幾何学の観点から調べる。 複素一次元葉層構造において、対数型葉層構造の特徴づけを考える。また、多項式係数の複素ベクトル場について、半径が大きい実超球面に対する横断性を調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
Bruno Scardua 氏との共同研究について、さらに進展が見込まれたため、招聘時期について、帰国の日程を2014年4月とすることにした。これに伴い、招聘に係る経費の全額を2014年度予算として支出することとした。 次年度使用額は、Bruno Scardua 氏の招聘に係る経費の一部として使用する。
|