鉛直移動を含む動物の移動データを分析するモデルとして状態空間モデルを利用した解析方法を考案し,ウナギ・クジラの移動データに適用した.深度や水温が水平移動方向に与える影響を見るために,状態空間モデルと混合モデルを組み合わせ,モデルのパラメータが説明変数の関数となっているという構造を入れた.計算負荷が大きいため,ADモデルビルダーと呼ばれる高速計算ソフトを使用し,パラメータ推定を行った.シミュレーションテストでは,モデルのパフォーマンスは比較的良好であったが,実データへの適用では個体間の差異が大きく,個体群全体での傾向を把握するには至らなかった.今後は,集団全体の傾向を捉えるための新しいアプローチが必要であると考えられた.
|