研究概要 |
1. 2次の非線形項を持ったシュレデンガー方程式系の研究を行い, 時間大域解の存在に関する適切性及び時間に関する振舞いを, 質量条件のもと明確にした. 空間次元が2次元の場合は解の性質について詳しく調べられていた. しかし高次元の場合, 解の適切性を認める関数空間, あるいは解の爆発条件に関する条件は明確でなかった. この結果は国際誌, Ann. Inst. H. Poincare, 30 (2013), pp. 661-690 に掲載されている. 2. 2次の非線形項を持った非線形クラインーゴルドン方程式系の研究を空間次元が2次元の場合に行い, 非線形項が共鳴現象を起こさない場合に関して, 時間の大域的存在と散乱問題に関する研究を従来より広い関数空間で行なった. この結果を証明するため, 非線形変換を用いさらにその際に現れる双線形形式の評価を精密に行なったことが研究の特色としてあげられる. 双線形形式の評価により従来の結果に比べると強い質量条件となっているが, これは今後の研究課題とすべき点である. この結果は国際誌, J. Differential Equations, 254 (2013), pp. 3615-3646. に掲載されている. 3. ある種の変換を施すと非線形項シュレデンガー方程式系となることが知られている微分型非線形シュレデンガー方程式の研究を行い,修正散乱作用素の存在をより広い関数空間で示した. その際, 近似解を適切に選択したことが研究の特色として考えられる. この結果は国際誌, SIAM J. Math. Anal. に掲載されている.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度における成果発表費用として保留した. 研究打ち合わせ(東京理科大学, 早稲田大学, 中国, 大津市)及び成果発表費用( 日本数学会年会, 東アジア偏微分方程式)として使用する.
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