研究実績の概要 |
A を実ヒルベルト空間 H 上の正値自己共役作用素とし H 上の強い減衰項 c A*α u' をもつ抽象方程式 (E) u" + A u + c A*α u' = 0, u(0) = a, u'(0) = b (A*α は A の α次の分数冪作用素)の放物型性に関して次の結果を得た. (1) 任意のα>0 に対して,次の意味での時間正則性が得られた. S(t): (a,b) →u(t) は D(A*1/2)xH から D(A*1/2) への (0,∞) 上で無限回微分可能な写像となる. (2)任意のα>0 に対して,次の意味での空間正則性が得られた.k(t): (a,b) → u*k(t) (u(t) の k 回導関数)は,任意の自然数 n に対して D(A*1/2)xH から D(A*n) への 有界な写像となる. (3)特に, A*1/2 = L, c >2 のとき,方程式 (E) は (u' + αLu)'+ βL(u' + αLu) = 0 と分解され(α+ β=c, αβ=1) 作用素 L の放物型性(L が他のバナッハ空間 X において C*0 半群を生成する性質や比較定理が成り立つなど)が (E) にも引き継がれることを示した.
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