力学系理論における相関関数と,ユニタリ表現論における行列関数は類似した概念である.その背後にある共通原理を発見が本研究の目的であった.まず公開アーベル群のアノソフ作用の典型例であるワイル領域流と呼ばれる力学系に着目した.このワイル領域流に対し Katok-Spatzier が示した剛性定理の証明において,あるユニタリ表現の行列係数の指数関数的減衰が本質的な役割を果たす.そこで,より一般のアノソフ作用に関しても同様な評価を得たい.その第一歩として,ワイル領域流に対する新たな幾何学的理解を試みた.その結果,ワイル領域流に対する剛性定理の新たな証明が完成しつつある.
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