研究概要 |
本研究計画の目的は、古典的な研究課題として広く扱われてきたリウビル・ゲルファント型非線形固有値問題の解の正則性と特異性に関して、新しい視点からアプローチを行い、当該分野で長く解き残されてきた未解決問題の解決を目指すことである。特に極解(extremal solution)と呼ばれる解の正則性と特異性について、幾何学的変分問題におけるアイデアと非線形解析の手法を組み合わせることで、領域や解の対称性に依らない統一的な解明を目指す研究を行った。また、付随する放物型方程式の「瞬間爆発現象」および放物型力学系の観点からの極解の「片側不安定性」についても考察を加えた。 研究計画最終年度には、非線形 Neumann 境界条件を持つリウビル・ゲルファント型固有値問題の極解の正則性・一意性・スペクトル解析的性質について、Brezis-Caznave-Martel-Ramiandrisoa, Brezis-Vazquez, Martel, Cabre-Martel 達の先行結果と同様な結果を得ることに注力し、関連論文2本にまとめた(Comm. Contemp. Math. および Math. Bohemica に掲載確定済み)。この2論文の他に、研究計画の2年間を通じて、研究代表者を主たる著者とする論文7編を発表し、また、掲載確定済み論文2編、投稿中論文2編を作成、さらに研究分担者による発表済み論文7編等の研究業績を挙げた。研究代表者は、研究計画年度中に 9th AIMS, Equadiff13 等の大型国際集会で研究成果を発表し、国内外での講演回数は21回に及んだ。
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