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2012 年度 実施状況報告書

マルチビームTHz帯ヘテロダイン検出器のためのQCレーザーの局部発振波応用

研究課題

研究課題/領域番号 24654048
研究機関大阪府立大学

研究代表者

前澤 裕之  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00377780)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード電波天文学 / テラヘルツ波 / 量子カスケードレーザー / 超伝導ミクサ検出素子 / デバイスプロセス / ヘテロダイン分光 / 地球惑星科学 / リモートセンシング
研究概要

1-10 THz帯には、銀河に漂う星間分子の高励起線、原子・イオンの微細構造線、地球惑星大気中のOHラジカルなど、重要な分子のスペクトル線が分布する。しかし、この波長域は、従来の高感度超伝導SISミクサが機能せず、電波天文の特徴でもあるヘテロダイン分光の手法が確立していない。今後、観測時間の限られるTHz周波数域の高効率観測には、受信機のマルチビーム化が鍵を握る。このため、マルチビーム化を可能にする十分な出力をもつ連続発振(CW)の実用的な局部発振器1-2THz帯CW量子カスケードレーザー(QCL)素子の開発と、THz超伝導HEBMを応用してPLLシステムを構築し、この発振器の周波数安定化を行えるようにする必要がある。中枢を担うQCLチップとHEBチップの製作プロセスの装置に不具合が発生しており、これらの装置の条件だし・修復などを進めた。特にPLLに用いる専用の超伝導HEBM検出器の用意・開発を行った。また平行して、HEBやQCLのチップ実装マウントやPLL回路のコンポーネントの準備、パルス管4K冷凍機に搭載する冷却光学系部品の改良などを進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

量子カスケードレーザ(QCL)の製作では、分子線エピタキシー(MBE)成膜装置による安定した超格子多層膜の製作が重要となるが、今季MBE装置による膜の制御が不安定のため、修理・条件だしが進められており、QCLの製作が遅れている。また、本研究ではQCLにPLLをかけるためのHEBミクサを製作するが、今季HはEBミクサの製作に使用しているICPエッチングのレートの再現性がとれないという問題が発生した。細線構造形成のTEM分析を行ったところ、エッチング物質(金など)の再付着が目立ち、現在調査を進め、エッチング環境の修復を進めている。QCLとHEB素子の製作が遅れているが、これらを実装するマウントやレンズの準備や、搭載する冷凍機環境の改良、冷凍機の振動起因の発振器のパワーのゆらぎを安定化するシステムの開発、PLLシステムの設計などは平行して進めることができた。

今後の研究の推進方策

QCLについては、現在ドライエッチング装置にも不具合が発生しており、MBEとあわせて修復されしだいQCLの製作を再開する。HEBミクサについては、現在、細線構造にあわせたエッチングレートの条件だしを進めている。またエッチング量を減らしてレジストの負担を減らすために、金のGNDパターンの厚みを薄くするなどのプロセスの改良を進めている。また、本学工学部のクリーンルーム施設を利用できるように環境を改善中であり、走査型電子顕微鏡などを用いた効率の良い素子選定・評価法を検討中である。これらを通して、HEBの歩留り改善と高感度化を目指す。このHEBミクサを用いて早期にQCL信号を見立てたTHz帯cw信号を照射し、HEBミクサでダウンコンバートされて出力されたIF信号と、シンセサイザーからの基準信号を位相比較器に入力し、位相差に対応した電圧に変換する。この電圧に、さらに我々が開発したHEBミクサへ入力される発振器信号のレベル安定化システムを重ねあわせ、斬新なTHz帯PLLシステムを実用化する。1.9THz帯のQCL発振器が出来次第、このPLLシステムに組み込んでいく。

次年度の研究費の使用計画

位相比較器、ローパスフィルター、RF増幅器、DC電流増幅器からなるPLLユニットを完成させ、シールドユニットに実装する。これらに関わるマイクロ波コンポーネントやケーブル類の購入を進める。また、MBEやドライエッチング装置が修復され次第、大学院生がNICTに長期滞在しQCLの製作を再開する。1-4THz用のBTC型とRP型の両方の活性層エピ膜を用いて、サブミクロンの精度でキャビティを形成して実装し、発振出力・周波数、特性のばらつき等をNICTの電流/電圧/光量測定システムやフーリエ分光器を用いて評価・比較する。また、QCLをクライオスタット内をアセンブリする治具を作成する。そして高出力を得やすく、かつ発振周波数を制御しやすい型のQCLを同定し、そのエピ層の高品質化・積層数・面積・熱コンタクトの改良を行って、この波長域でのCW-QCLの高出力化を進める。HEBについては、新規購入したSiレンズに無反射コーティングを施す。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] .5 THz帯拡散冷却型NbTiN HEBミクサの開発2013

    • 著者名/発表者名
      椎野竜哉
    • 学会等名
      日本天文学会2013年春季年会
    • 発表場所
      埼玉大
    • 年月日
      20130320-20130323
  • [学会発表] Development of Superconducting Detectors for MM/THZ Band Heterodyne Spectroscopy of Earth's and Planetary Middle Atmosphere2012

    • 著者名/発表者名
      前澤裕之
    • 学会等名
      AOGS - AGU Joint Assembly
    • 発表場所
      シンガポール
    • 年月日
      20120813-20120817
  • [学会発表] 惑星大気のミリ・テラヘルツ帯ヘテロダイン分光ための超伝導検出素子の開発2012

    • 著者名/発表者名
      前澤裕之
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2012年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      20120520-20120525

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公開日: 2014-07-24  

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