研究課題
平成26年度は、SNODARの開発者をマウナケア山頂に招き共に取得したデータを解析した結果、すばる望遠鏡サイトでも地表層ゆらぎが実際に50m以下になることが確認された。この成果は国際研究集会と日本天文学会で発表を行った。地表層補償光学(GLAO:Ground-Layer AO)のシミュレーションも引き続き進めて国際研究集会で発表した。多天体補償光学装置の実証実験機RAVENを地表層AOモードで動作させたところ、実際にHバンドで半値幅0.2秒角を切ることが確認できた。これらの成果により、研究期間全体を通して当初の目的を達成することができた。すなわち、すばる望遠鏡サイトにおける地表層もマウナケアのリッジサイトと同様に地表層は80m以下の高度に集中することが実験的に確認された。しかもシミュレーションの予想通り半値幅0.1秒角台の星像が、実際にすばる望遠鏡を通した星の光に対する地表層補正のみで達成可能であることを示すという、当初計画を上回る卓越した成果を得ることができた。結果として、すばる望遠鏡で地表層補償光学装置は実現可能であることを明らかにした。申請書に記載したが予算減額によりマウナケアで実現できなかったMASS-DIMMを用いた測定は、北海道大学のピリカ望遠鏡サイトでの測定へと展開させることができた。さらにすばる望遠鏡ドーム内のシーイング測定準備も開始した。一方で、当初計画に含まれていた長期的な定常観測は継続課題であり、大型のSNODARは設置場所の再検討、PTP2は電気的雑音の改善を要す。本研究で導入した測定装置により初期成果を挙げることには十分成功した。今後はそれぞれの装置に関して残された一部の問題を解決しつつ測定活動を継続し、本研究での成果を基により詳細な評価へと発展させていく予定である。全体として、本研究課題は萌芽研究としての役目は十分に果たしたと言える。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Journal of Physics:Conference Series
巻: 595 ページ: 012024:6pp
10.1088/1742-6596/595/1/012024
Proceedings of SPIE
巻: 9148 ページ: 6G:8pp
10.1117/12.2055701
巻: 9148 ページ: 1G:14pp
10.1117/12.2055480
http://www.naoj.org/staff/oya/Seeing/SubaruGL/SubaruGL-JPN.html