研究課題/領域番号 |
24654062
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
谷本 盛光 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90108366)
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研究分担者 |
淺賀 岳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70419993)
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キーワード | 右巻ニュートリノ / ステライル / ニュートリノ質量 / フレーバー対称性 |
研究概要 |
素粒子の標準理論では、左巻ニュートリノが三世代存在するが、右巻ニュートリノは存在せず、そのため質量がゼロとなっている。右巻ニュートリノは通常のクォークやレプトンとは相互作用しないので、ステライルニュートリノとも呼ばれる。通常は、右巻ニュートリノの導入によって、シーソー機構を通して小さなニュートリノ質量が説明される。本研究では、フレーバ―対称性等を用いて、右巻ニュートリノ、すなわち、ステライルニュートリノの性質を明らかにすることにより、ニュートリノ質量の起源を解明するものである。 当該年度においては、これまでのニュートリノモデルを総括し、その特徴を明らかにすることを試みた。その成果は”Neutrino Mass and Mixing: from Theory to Experiment”(NJP) にまとめられた。とりわけフレーバー対称性がどのようにニュートリノ質量に制限を与えるかを詳細に検討した。 また、T2K実験におけるニュートリノ振動の観測からCP対称性の破れの大きさが見えてきたが、その大きさからモデルを制限することを試みた。近い将来の精度の高い実験でモデルが制限される可能性を示した。現在、論文として執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニュートリノ研究で著名なイギリスの研究者 King博士と国際共同研究をすすめ、その成果が”Neutrino Mass and Mixing: from Theory to Experiment”(NJP) にまとめられた。また、ニュートリノのCP対称性の破れに関する論文を作成中である。これらののことにより、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
日本のT2K実験は、電子型ニュートリノ生成のニュートリノ振動実験を成功させCP対称性の破れについて重要な知見を与えはじめている。近い将来期待される精度の高いデータによって、ニュートリノモデルの選別を行う方法を明らかにする。このことによって右巻ニュートリノの性質の解明を行う。最終年度となるため、最近の実験データも取り入れながら、ステライルニュートリノの性質の解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2月末に実施した海外出張において、旅費決済の事務手続きが遅れ4月に入ってからの決済となったため。なお、そのうち2万円については、出張の短縮によって余りができたので、繰り越して次年度の海外出張旅費の一部として使用する。 すでに出張は実施されている。実質的な繰越金2万円については次年度の海外出張旅費の一部として使用する計画である。
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