自然界には、ミクロの素粒子からマクロの宇宙まで、数十桁の複数スケール(マルチスケール)にわたる階層性がある。各スケールで似た形式の物理法則が繰り返し現れる。従来、各スケールの物理現象に対し、個別の理論や解析手法が提案され、各学問分野でタコツボ化して発展してきた。
本研究では、ミクロスケールの自由度からマクロスケールの物理量を横断的に取り扱う手法を開発した。具体的には、非摂動くりこみ群の手法を用いて、ミクロとマクロを繋ぐ自由度の変換を定式化する。これにより、長距離相互作用のあるイジング模型や量子散逸系について、目的とするスケールの物理を定量的かつ摂動論に依らずに解析することが可能となった。
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