研究課題/領域番号 |
24654069
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
本間 謙輔 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40304399)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 暗黒エネルギー / 暗黒物質 / レーザー / 四光波混合 / 真空 |
研究概要 |
京大化研内レーザー施設内の1mJ/pulse程度のレーザーを用いて、真空内四光波混合過程からの信号光子を、非相互作用光から分離後、単一光子感度で測定可能なことを検証するための予備試験を4回実施した。この測定のために、以下の要素研究を行った。1)広大大学院修士1年の学生らと共に、単一光子感度を有する光電子増倍管を用いて、LEDやレーザー光を減光し、単一光子信号の電荷出力およびデバイス単体の検出効率が実測できる測定系を広大内で構築した。2)開発した単一光子読み出しシステムがノイズ環境下でも動作することを、京大化研内で共同研究者のグループメンバーらと確認した。3)繰り返しレートの高い1mJ出力のTi:Saレーザーを用いて光学系を構築し、ダイクロイックミラーとプリズム群による空間的分離とプリズム表面から出る散乱成分をさらにカットオフするためのダイクロイック波長フィルターを組みあわせて、非相互作用光の影響を、信号波長域に対して、千分の1光子未満に落とせることを、実環境において検証した。1mJとはいえ、非相互作用光は10の15乗光子/pulseの光子群であり、その中から波長の異なる単一光子を分離することは、容易ではない。ダイクロイック波長フィルターは、狙った波長については95%以上透過し、その他の光子については、1枚で4~5桁程度減光できるため、京大化研内で最終的に利用できる1Jオーダーのレーザーパルスについても、波長フィルターの追加により、乗り切れることが確実となった。 上記、予備測定に加えて、高強度レーザーを用いて初めて可能となる基礎物理の主題についてレヴュー論文を書くことと並行して、近未来の超高強度レーザー場を用いた真空内四光波過程による暗黒エネルギー源探索の検出感度について議論した論文を執筆した。同時に、関連する内容について二つの国際招待講演と一つの国内招待講演を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真空内四光波混合過程による信号光は光軸上の前方に出るため、非相互作用光との分離が鍵であり、そこが最難関であるという印象を持っていた。しかし、実際には、10の15乗光子/パルスに対して、千分の1光子程度の漏れ光までに抑えられることを実測でき、今後の実験計画に無理なく接続できることを実感できるため、概ね順調に計画が進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
25年度は、真空容器を導入し、いよいよ生成光波800nm(1mJ/pulse)と誘導光波1064nm(1J/pulse)の混合による真空内四光波混合過程の有無を、数日のデータ取得により探る。仮に、信号光が見つからない場合、未知場と光子との結合対未知場の質量との関係について、上限値を算出する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
生成光波800nm(1mJ/pulse)と誘導光波1064nm(1J/pulse)の混合によるパイロット探索を実施するための旅費として、残り予算の大部分を使用する。
|