研究課題/領域番号 |
24654069
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
本間 謙輔 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40304399)
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キーワード | スカラー場 / 暗黒エネルギー / レーザー / 真空内四光波混合 |
研究概要 |
近年の宇宙観測により未知の暗黒エネルギー(DE)が宇宙の約7割のエネルギーを有している可能性が議論され 始めている。DEは宇宙項Λを与える候補の1つとして考えられている。Λの観測値はプランク単位換算で10の-120乗と極めて小さく、統一理論で期待されるΛ~1との乖離が最大級の問題となっている。DEの1つの自然な説 明として、物質とは重力的にしか結合しない極めて軽いスカラー場による有力な解釈がある。暗黒エネルギー源の候補となる軽いスカラー場の地上探索へ向け、真空中で比較的低強度の2色のレーザー光を集光し、真空起因のパラメトリック4光波混合過程による高調波生成の観測を、パイロット実験として広島大学学内にて試みた。将来の高強度かつ高繰り返しレーザー施設への拡張を前提に、信号の波形データを約10kHzの高速収集レートで取り込むための読み出し系を構築し、数日で約10億の混合事象のサンプルデータを得ることに成功した。さらに、このデータを用いて、信号光の有無を統計的に議論するための解析手法を完成し、統計的に有意な信号が発生していない結果を得た。並行して、京都大学化学研究所にて、比較的高強度のレーザー場を用いる探索実験を行った。そのために、集光点を覆う真空容器を設計・製作し、データから物理結果を出すための校正用パラメータを測定するための系の構築も並行して行った。四光波混合過程の有無の探索を行った結果、今度は真空容器内の残余原子起因の四光混合光を見出すことに成功した。この微弱光は、探索に用いる測定系全体の正しさを証明する重要な光源となる。その上で、この原子起因のバックグラウンド光を無視できる程度に減少させるための手法を開拓し、この強度における本番探索のためのデータセットの取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スカラー場探索を実施し、物理結果を出すのに必要十分なデータ取得に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
解析の結果と様々な実験パラメータを用いて、スカラー場に対する質量ー結合関係について、本探索により棄却できる領域の定量化を行い、論文を執筆・投稿する。
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