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2012 年度 実施状況報告書

現実的クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24654071
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関鈴鹿工業高等専門学校

研究代表者

仲本 朝基  鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10311036)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードクォーク模型 / 重粒子間相互作用 / クォーク多体系
研究概要

これまでに我々京都ー新潟グループが提唱してきた現実的クォーク模型重粒子間相互作用fss2の改善版を構築するに当たって、改善すべき箇所の修正かつ実験データの再現という厳しい制約を可能たらしめるために、これまで我々の模型において考慮されていなかったクォーク形状因子の効果を取り入れることを検討した。重粒子間相互作用におけるその効果の解析的な形を求め、それを取り込んだプログラムコードを開発した。これによって、クォーク形状因子を適切なパラメータとして用いることによる、新模型の構築の可能性を広げた。
クォーク多体系の統一的理解をより広い視野から捉えるために、クォーク3体系(重粒子)、6体系(重粒子2体系)に加えて、9体系(重粒子3体系)に関するクォーク模型による記述を検討した。3重粒子系におけるパウリ効果を評価するために、共鳴群法(RGM)規格化核の計算を行った。これまでは3核子系(スピン・アイソスピンSU(4)対称性)における計算結果しか報告されていないため、今回は重粒子八重項全体での3重粒子系(スピン・フレイバーSU(6)対称性)における計算を実行し、RGM規格化核のスピン・フレイバー・カラー因子の解析的な形までを求めた。
クォーク9体系のパウリ効果を調べる過程において、重粒子十重項を含めた完全に一般的な重粒子2体系におけるパウリ効果についても調べた。これは高エネルギー加速器研究機構の高橋仁氏を中心にJ-PARC実験施設において計画されているΩN散乱実験に対する理論側からの情報として、11月の岐阜高山で開催された研究会において高橋氏との議論において要望されたものであり、その結果は後日同氏に対して報告された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、これまでに我々が提唱してきた現実的クォーク模型重粒子間相互作用fss2の改善版を構築して、そのハミルトニアンを用いてハドロンの基底状態を評価することを主眼としていた。実際の進展状況は、新模型構築までには至っていないが、そのための適切なパラメータとして用いる事ができるクォーク形状因子を取り込んだ形のクォーク模型重粒子相互作用の枠組みを完成させ、そのプログラムコードを開発し、これまでとは異なるスタンスのパラメータサーチを行える環境を整えている。また、ひとたび新模型を構築できれば、そのハミルトニアンを用いてすぐにハドロンの基底状態を計算できる確率論的変分法のプログラムコードも、すでに用意できている。
新模型の構築がまだ達成されていない代わりに、本研究本来の目的である「クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解」に対して更に広い視野から捉えるために、当初のクォーク3体系(重粒子)と6体系(重粒子2体系)に加えて、9体系(重粒子3体系)に関する研究にも着手した。このテーマについては従来、世界的にも3核子系においてしか研究されておらず、一般的な重粒子系に拡張してこれがなされれば全く新しい結果を得ることになる。平成24年度が終了した時点において、すでに共鳴群法(RGM)規格化核のスピン・フレイバー・カラー因子の解析的な形を求めた段階まで進んでおり、これにより9クォーク系(すなわち3重粒子系)におけるパウリ効果を調べることができる枠組みを構築できたことになる。

今後の研究の推進方策

本研究「現実的クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解の研究」は、「現実的クォーク模型の構築」と「クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解」という2つのテーマがある。
「現実的クォーク模型の構築」に関しては、昨年度に用意されたクォーク形状因子を取り込んだクォーク模型の枠組みも一つの可能性を持った選択肢として視野に入れつつ今年度も進めていく予定である。具体的には、実験データを再現するようなパラメータサーチを試みることである。
「クォーク模型によるクォーク多体系の統一的理解」に関しては、昨年度に着手したクォーク9体系(重粒子3体系)についての研究を更に進め、共鳴群法(RGM)規格化核のみならず、RGM相互作用核をも計算し、これによってクォーク模型の観点から3重粒子系における3体力の効果を系統的に調べることを行う予定である。これは、昨今注目されている中性子星の内部構造の解明に繋がる貴重な情報となり得る。具体的には、まず昨年度に用意されたRGM規格化核のプログラムコードを設定し、それを利用した適切な方法を用いて、3核子系以外も含めた一般的な3重粒子系におけるパウリ効果について調べる。RGM相互作用核の計算については時間がかかるものと予想されるため、次年度に跨ぐテーマとして推進していく。

次年度の研究費の使用計画

プログラム計算等に活用可能なソフトウェアやその他の消耗品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] Baryon-baryon interactions in the SU(6) quark model2012

    • 著者名/発表者名
      仲本朝基
    • 学会等名
      Workshop on S=-2 and related Nuclear Physics in HIDA-Takayama 2012
    • 発表場所
      高山市
    • 年月日
      20121125-20121127
    • 招待講演
  • [学会発表] Baryon-baryon interactions in the SU(6) quark model2012

    • 著者名/発表者名
      仲本朝基
    • 学会等名
      「素核宇宙融合」×「新ハドロン」クロスオーバー研究会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20120712-20120713
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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