研究課題/領域番号 |
24654072
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
池野 正弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 先任技師 (40391718)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 粒子測定技術 |
研究概要 |
平成24年度は、今までの事前研究により100ミクロン幅の印刷法としてシルク印刷を選定して研究を進めることとし、まず印刷のベース基板として320mm×320mmのFR-4材にコネクター取り付けと印刷パターン接続部までの配線と読み出しICの周辺回路および印刷用ターゲットマークを通常のエッチング法で作りIC搭載用穴をあけICを2個搭載した基板を5枚製作した。 印刷用シルク版は線径23ミクロン、メッシュ数130本/cmのステンレスメッシュ膜厚43ミクロンの材料を使い、銀ペーストは90℃~120℃の低温熱硬化型を使用して、協力会社の印刷機を使わせてもらい1次元ストリップパターンの印刷をコネクターからの配線とIC入力パッド間で行った。 配線パターン自体は印刷位置精度を含めきれいに印刷することができたが、ICパッド部の接続は、見た目で5割ほどの成功率であり、その不良の原因はICチップ固定時の硬化剤にできた泡による数ミリの段差による影響が主因と思われるが、それも含め段差と成功率の関係を顕微鏡CCDカメラで測定して定量化したところ、段差が50ミクロン以下であれば成功することがわかった。 ICとの接続がされていると思われる1枚の基板のICの出力側パッドにアルミ線ボンディングを行い周辺回路も実装して、本当に入力部が印刷だけでつながっているか確認するために、ICと反対側のコネクターからテストパルスを入れて試験したところ、ICの出力が確認できた。これにより印刷技術のみで検出器パターン形成と集積回路接続を一体で行うという目的の1つが達成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初平成24年度の目標は、測定器の2次元ストリップパターンを印刷することであった。 平成24年度は印刷のターゲットマーク設定の間違いにより1次元ストリップパターンのみの印刷になったが、その代わり平成25年度目標であった集積回路と接続するところまで実現でき、回路の動作を確認することまで行えたことから上記区分と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ターゲットマークを適切に設定しY方向のシルク版を作り直す。それを使い平成24年度できなかった印刷による2次元ストリップパターンを描画してその上にガス中での電子雪崩を用いた電子増幅器(GEM)を配置し、その信号を2次元ストリップパターンで読みだすマイクロパターンガス測定器を完成させる。 ICとの接続方法に関しても、現在の基板に埋め込む方法以外にICチップを裏返してパターン上で接続する方法も検討する。 平成24年度にできなかった学会発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は何種類かの金属ペーストを試す予定であったが、金属ペーストの保存期間が短く加えて保存条件が厳しいこともあり、用意したベース基板の数からも1回の印刷で何種類も試すことは難しいとの判断で最善と思われる1種類にしたため、約12万円の未使用額が発生した。 平成25年度の直接経費は平成24年度の未使用額と合わせて約82万円である。 消耗品として印刷用シルク版製作に10万円、シルク版データ作成に10万円、銀ペーストに3万円、レジストインキに2万円、印刷用ベース基板製作に24万円、学会発表等旅費に21万円、その他として基板パターン印刷代に12万円を使用する計画である。
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