研究課題/領域番号 |
24654072
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
池野 正弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 先任技師 (40391718)
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キーワード | 粒子測定器 / 印刷技術 / 素粒子実験 |
研究概要 |
平成24年度に行う予定だった、スクリーン印刷を用いた2次元読み出しパターンの印刷は、印刷ベース基板とシルクスクリーンに標した位置合わせ用ターゲットマークがスクリーン印刷機の条件に合っていなかったためX方向しか印刷することができなかったが、平成25年度はY方向の読み出しパターンを印刷するべく、スクリーン印刷機の条件に合致したターゲットマークとなるようにシルクスクリーン用のデータを修正し、Y方向の絶縁用とY方向読出しパターンのシルク版を製作した。 印刷ベース基板は作り直すには読出し用ASICの手持ちの数が不足していることと、費用がかさむ事から再利用を考え、印刷領域の周辺のグランド面に明けてあるスルーホールをターゲットマークの代用にすることにより、前回の物が使えることとなった。 シルク版の材質は前回と同じ線径23ミクロン、メッシュ数130本/cmである。X方向の線幅は200ミクロンであるがY方向の線幅は絶縁線との位置合わせに余裕を持たせるために100ミクロンとした。新しいシルク版と前回の印刷ベース基板を使い、前回と同じく協力会社のスクリーン印刷機を使わせてもらい2次元読み出しパターンの印刷を行い成功した。 製作した2次元読み出し基板の上にGEM(ガス電子増幅器)3枚を使いガス2次元測定器を構築し、55FeからのX線を測定することで測定器としての動作が確認できた。 今まで行ったことをまとめて、日本物理学会第69回年次大会の実験核物理領域、素粒子実験領域合同測定器セッションにおいて、印刷技術を用いた集積回路一体型ガス2次元測定器の技術開発というタイトルで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標は 平成24年度 2次元ストリップパターンの印刷とその上にGEMを用いたガスマイクロパターン測定器を構築し動作検証を行う。 平成25年度 読み出し回路(ASIC)との印刷による接続とASICの動作検証。 であった。 順序は前後してしまったが、平成25年度までに上記2つの目標が達成できたことから上記区分と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の平成26年度の目標は、平成24年度と平成25年度に行ったことを組み合わせ、2次元読み出しガス測定器を完成させることであった。 それぞれ年度の目標はおおむね達成された。しかし印刷ピッチに関しては初期目標を達成していない。最初の試作ということもあり動作の実証を最重要目標とした。何の成果も出ないような失敗を避けるために読出しASICの端子間隔を400ミクロンとし、印刷のピッチも400ミクロンとした。シルク版のスクリーンも100ミクロン幅まで描画可能なものを使用していた。 測定器としての実用化を考えた時、一般的読出しASICの端子間隔は100ミクロンであることから、100ミクロンピッチ以下の印刷精度が必要となり、その技術を獲得しておかなければならない。そこで幅50ミクロン以下の印刷が可能なシルク版の価格を調べると1版が10万円を超えることがわかり、これを使っての集積回路一体型ガス2次元測定器は平成26年度の予算額範囲では製作することができないと判断した。 平成26年度の目標を測定器の完成品を作るのではなく、印刷技術による集積回路一体型ガス2次元測定器を実現するための要素技術を獲得することに変更する。 100ミクロンピッチ以下の2次元読み出しパターンを印刷により作成し、平成25年度と同様にガス2次元測定器としての動作を確認する。ただし精度の限界のみ試すと成果がでない可能性があるため、最低限必要な100ミクロンピッチを試すことができるパターンを含んだシルク版を製作する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用額は、増えた項目減った項目両方あるが、次年度使用額が発生した主な理由は旅費が予定のほぼ半額であったことと、印刷用ベース基板を再利用することになりその新規製作費が不要になったこと、それによるシルク版製作枚数が半分の2版であったことである。 平成26年度の研究費は、平成25年度の未使用額と合わせて約74万円である。 消耗品として印刷用シルク版製作に30万円、シルク版データ作成に5万円、銀ペーストに10万円、レジストインキに2万円、印刷用ベース基板製作に10万円、学会発表等旅費に5万円、その他として基板パターン印刷代に12万円を使用する計画である。
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