本研究はガス2次元測定器の読出し電極と読出し集積回路との接続までを印刷技術により一体化する技術開発と材料の研究である。 これまでに、スクリーン印刷で400ミクロンピッチ8本ずつのX軸、絶縁、Y軸パターンを印刷し、その読出し電極の上にGEM(ガス電子増幅器)3枚を重ねガス2次元測定器を作り55FeからのX線を検出した。また印刷基板に埋め込んだ読出し集積回路の入力電極と読み出し電極の接続を400ミクロンピッチではあるが印刷技術のみで一体形成した。その集積回路へ電源を供給し入力側印刷パターンへテストパルスを加え正しく出力することが確認できた。これにより項目的には目標を実現できたが、2次元電極部では線幅が広がり、出力に1対2のアンバランスが生じた。集積回路との接続部に関しては、100ミクロンピッチ電極に対応しないと実用的ではない。 今年度は高精度化を狙い2次元パターン部分ではX軸幅200ミクロンとY軸幅100ミクロン、Y軸絶縁線幅150ミクロンを精度よく描き分けること、一般的集積回路の端子間隔である、100ミクロンピッチの端子に接続可能なラインアンドスペース50/50ミクロンのパターンを印刷する、そして去年同様にGEMを使ったガス2次元測定器を構成し、55FeからのX線スペクトルの測定を目指した。そのために印刷スクリーンのメッシュを500本/インチのステンレス製に変え、銀ペースト、絶縁インクも変更した。また、印刷用ベース基板も新規製作した。これにより狙った通り高精度の印刷が実現でき、100ミクロンピッチ部分を計測顕微鏡で測定したところ、印刷精度は誤差10ミクロン以下であった。これは単純なスクリーン印刷の精度としては上位である。ガス2次元測定器としてはX軸とY軸の出力がそろい55FeのX線スペクトルもエスケープピークまで取得できた。この成果は日本物理学会第70回年次大会で発表した。
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