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2012 年度 実施状況報告書

電波観測技術を応用したニュートリノ質量絶対スケールの新しい測定法の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 24654073
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

長谷川 雅也  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (60435617)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード素粒子実験 / ニュートリノ
研究概要

本研究では、ニュートリノ質量の精密測定に向けて、トリチウムベータ崩壊からの電子のエネルギースペクトラムを0.1eV以下のエネルギー分解能で測定する為の、電波観測技術を応用した新しい手法を開発する事を目的としている。まずは、トリチウムと崩壊電子のエネルギーが近く、半減期の短いクリプトンを用いてエネルギー測定の原理検証を行なう事を目指している。
本年度は、手法の原理検証を行なう為のプロトタイプ検出器の設計及び各コンポーネントの性能評価を開始した。まずシミュレーションにより、~1Tの磁場中での電子のサイクロトロン放射を用いて~0.1eVの分解能でエネルギー測定が原理的に可能である事を確認した。ここで1Tの磁場中で数十keVの電子が放出する電波の周波数は約27GHzとなる。次にこの仕様に基づき、プロトタイプ検出器用のクライオスタット(真空槽)のメカニカルな設計を行なった。
並行して検出器に用いるコンポーネントの基本特性の評価を行った。具体的には信号発生器を用いてサイクロトロン放射を模擬した25~40GHzの電波を発生し、それをホーンアンテナで受け、low pass filter 及び (低温)アンプを通してパワー検出器に入射して、~30GHz付近の電波に対して検出器の感度がある事、及び質量測定に置いて無関係な高周波の電波(>35GHz)に対して感度が無い事を確認した。
以上の様に、プロトタイプ検出器を製作する為の準備研究が完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では本年度中にプロトタイプ検出器の製作を行なう予定であり、そこまで年度内に到達はしていないが、シミュレーション結果に基づくデザイン設計はほぼ完了しており、次年度早々に検出器の開発を行い、原理検証が開始できるめどがたっているため、(2)おおむね順調に進展している、とした。

今後の研究の推進方策

まずは本年度の準備研究を元に、プロトタイプ検出器の製作とそれを用いた検出手法の原理検証を進める。このプロトタイプ検出器を用いて、「サイクロトロン放射の検出の確認」「エネルギー分解能」及び「エネルギースペクトルの推定」等の基本特性の評価を行う。本研究で提案する手法は未開拓の方法であり、常にシミュレーションと結果を比較しながら、本検出法の深い理解を示す。
原理検証が完了したら、次に結果を元に、ニュートリノ質量探索に向けた実機製作の為のシステムのセットアップの検討を行う。検討は基本的にシミュレーションを用いて行なう。アンテナの間隔、配置を換えながら、エネルギー分解能やバックグラウンド事象のレート等を考慮して、S/Nがより高くなるセットアップを考案する。必要に応じて原理検証に用いたプロトタイプ検出器を改良して、再検証を行なう。最終的に期待される性能を系統誤差を含めて評価し、ニュートリノ質量測定実験に向けての基本開発事項を完了させるまでを研究期間内にカバーする事を目指す。

次年度の研究費の使用計画

本年度予定していたプロトタイプ検出器の製作に関して、本年度は研究実績の概要で述べた通りシミュレーションによる性能の確認及び設計までを行なったため、製作の為の費用が次年度使用額として生じている。従って次年度研究費はほぼすべてプロトタイプ検出器の製作に使用する予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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