研究課題/領域番号 |
24654075
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
田中 秀治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80311124)
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キーワード | 国際情報交換 ドイツ |
研究概要 |
平成25年度は24年度に引き続きメッシュ構造体の沿面放電事象の検討を行った。構造としてはワイヤー径16um、開口率50%のタングステンメッシュを使用しガスはAr+CH4(50%:50%)を使用した。沿面放電対策としてFR4部での電場を下げるために凸凹(ガイシ)構造を製作し、強電場有効面積を減らすことで沿面放電の確率をさげることは出来たが、まだ完全に防いでいる状況ではない。次に放電開始電圧の再現性および連続放電印加によるメッシュの破壊について試験を行った。部分的なタングステン線の切断を確認したが放電開始電圧に対しては大きな影響は見られなかった。ただ一度破断箇所が生じると同じ場所が放電しやすくなることはMWPC(比例計数管)と同じであった。 読み出し回路については1V/pCのチャージアンプを用いていたが増幅率が十分ではなかった。これはメッシュ開口率50%ではメッシュ表面でもRPC(平行極板型位置検出器)と同程度の強電場領域しか得られないことによると考えられる。つまりメッシュ素材の表面積とメッシュ面での電極面積が同等であるためにワイヤー表面での電気力線密度として見た場合大きな差にならない。このためより”開口率/メッシュ径”が大きくなる素材を検討している。 またメッシュ積層に関する検討ではメッシュ面間で強電場を与え、その部分での増幅を目指す装置の設計を現在進めている。これはマイクロメガスに近い電場構造になるが昨年と同様に連続放電による破壊の影響、信号の均一性などを確認したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放電対策については概ね目途はついてきたがよりガス増幅の効率の高いメッシュを手に入れる必要があり業者と相談している。
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今後の研究の推進方策 |
1層での増幅によるメッシュについてはメッシュ開口率の高い素材を仕入れる必要がありそれを入手次第昨年度と同様の試験を行って比較をする。 また積層による増幅(平行極板型)は平行して進めて最適なギャップを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在より増幅効果の高いメッシュ形状の検討を行っておりそのための新しいセットアップの設計を進めている。このため前年度予定していた予算分はこれに当てる予定である。 設計が固まり次第、メッシュおよび構造体の製作を行う。また読み出し用エレクトロニクスもそれに合わせて購入する予定である。
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